
2023.11.29
【飲食店最前線巡り #1】レーンのデジタル化で進化したデジローの顧客体験価値
飲食店最前線巡りⅡはじめまして。吉田啓介と言います。Food Deployでは初めて記事を発信します。cookpadさんが運営していたFoodClipで「飲食店最前線巡り」という連載を担当していましたが、メディアが閉じてしまい今回からこちらで発信させてもらうことになりました。
すかいらーくのガストとバーミヤンで店長をした後にマーケティング本部で広告宣伝や店舗体験向上を担っていたこともあり、飲食店の顧客体験やオペレーションなどが得意領域です。

スシローの新たな試み「デジロー」が3店舗誕生
9月末から東京、大阪、名古屋の3店舗で実験的に始まっているデジローをご存知ですか?そう、回転寿司スシローにデジタルの強みを掛け算した進化版なのです。飲食店のデジタル化はどんどん進んでおり、みなさんも日々の食事で体験することがあるかと思いますが、デジローのポイントは、お客様向けの仕掛けだということ。セルフレジ、モバイルオーダー、テーブルオーダーなど既存のデジタル設備は、人員不足を補うことが導入の主な理由で、その中でもベストな体験ができるよう設計されているケースがほどんど。さて、どんな体験ができるのか早速店舗に行ってきました。
行ってきたのは「スシロー新宿西口店」です。東京で唯一「デジタル スシロー ビジョン」(通称、デジロー)が導入されている店舗。すでにメディアでも数多く紹介されているので、混雑を予想して公式サイトから日時予約をしておきました。
驚きました。月曜日の20時前に到着したら入口付近は人であふれています。30人以上が入店待ちをしていました。20代の若い世代が多い印象です。

受付は画像のようにセルフ式。予約無しの場合はここで人数などを入力して受付番号が発番されます。呼び出しは通常店舗と同様に、予約と当日受付の方をコントロールしながら番号で呼び出しされ、QRを読み込みさせれば席番号が案内されるシステムです。予約していた時刻のちょうど20時ころに着席できました。


65インチハーフサイズの存在感たっぷりのディスプレーが出迎えてくれました。さすがに圧巻。お客さんはこのディスプレーでのタッチで注文や参加型ゲームにチャレンジします。

大画面をどう活用するか
「出来る限りお寿司を原寸大で見せたかった」とスシローが発表していましたが、大きな画面いっぱいにお寿司が表示されるのはわくわく感を高めてくれます。すっかり日常的な存在になった回転寿司ですが、いつもと違う特別感を持つことができます。画面を触っていない時は、画面上にお寿司が流れていき、気になったネタをタッチすればオーダーできる仕組み。まさにデジタルお寿司レーン。もちろんいつものように一覧から選択して注文もできます。
ディスプレーがやや高い位置にあるので操作中にうでが疲れることと、以前のタブレットのように取り外して移動ができないためモニターから離れている通路側に座っている人は、モニター側の人に注文をお願いしなくてはならない面倒さが気になりました。

注文以外の演出としては注文枚数に応じてチャレンジできるゲームがありました。大画面を活かした仕掛けはほかにもたくさんできそうで、これからのバージョンアップに期待です。

オートウェイターで注文皿がスピーディーに届く
デジローの目玉はこの大画面だけではありませんでした。注文したお寿司が自テーブルまで届く仕組みも大きな工夫があります。一般的にはテーブルの横にレーンがあって、注文したテーブルの横に来たら停止し、お客さんが手に取るパターンですよね。非常に便利な仕掛けですが、レーンでは当然1テーブル分ずつしか流すことができないので、ピーク時は流せないことによる渋滞が発生しそうです。その分お客さんには到着までお待たせしてしまうわけです。
それを解決しているのが注文した商品が自分専用のレーンに届く「Auto Waiter」(オートウェイター)です。メインのレーンからテーブルごとに枝分かれしており、その枝線に流れた後はすぐ次のお寿司を流すことができるので、本線1本よりも圧倒的に効率が高まりそうです。下の画像ではケーキが流れているのが本線で、手前にお寿司が並んでいるのが支線です。自動で注文した皿が手前に流れてくるのは非常に便利ですね。

会計も人の手を介しません。すべての注文がタッチパネル経由なため、注文した内容は記録されています。会計ボタンを押して、席案内の時に手渡されたQRの紙をもってセルフレジに向かいます。もちろんレジもセルフでQRコードをかざして決済手段を選択して支払いをして完了。

思えば、入店から会計までスタッフさんとの接点は一度もありませんでした。キッチンでの調理とテーブル片付け以外はすべてデジタル化されているわけです。
どの回転寿司店もしっかりおいしく、なかなか差別化が難しい業界。その中で大画面で注文したり、流れる様子を再現している仕掛けはわくわくある体験に繋がっていると感じました。お寿司のネタやサービス以外での来店の選択肢として強い武器になる印象です。
ホスピタリティをデジタルで実現するには
モノ消費からコト消費へ変化していると言われて久しいですが、回転寿司チェーンでのコト消費を見た気がします。飲食店の顧客体験は、一般的にQSCの向上が重要と言われ、料理の品質だけではなく、接客などサービスも当然大切です。ただ、人材確保が難しい中でいかにQSCの「S」を高めるかは各社で取り組みが分かれてきました。
人によるホスピタリティを追求するのか、省人化して別な体験価値をつくるのか。デジローでいうと後者で、人による接客は大部分をカットする中でもお寿司以外の価値を作る打ち手が今回のデジタル化なのだと感じます。
大画面のわくわく感、指名注文だけではなく流れるお寿司との偶然の出会い、スピーディーに注文商品が届く仕掛け。いったん今はこのインフラが整った段階ですが、この仕組みを活かせばこんなことも実現できるのでは?と期待して今日は終わりにします。
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