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2024.10.25

【竹田クニ】「人」と「テクノロジー」のハイブリッド!“○か×か思考“でないテクノロジー導入の考え方

竹田クニのインサイト

省人化に有効であったとしても、客とのコミュニケーションが減少したり、従業員の意識低下は多くの経営者にとって気がかり。

しかしながら、これは「人orテクノロジー」という議論であり、以前から言われている「人withテクノロジー」とは異なります。

では「人withテクノロジー」とはどんな状態ややり方を指すのでしょうか?

居酒屋甲子園で共有された「モバイルオーダーへのスタッフ入力率30%目標」

居酒屋甲子園で興味深い発表がありました。モバイルオーダーへのスタッフ入力率30%を目標化しているというものです。

今や多くの店がモバイルオーダーを導入していますが、当然ながら多くは客が直接注文するという機能による省人化効果を期待しての導入。

この店では、敢えてそれをスタッフが耳で聞いて従来ハンディに打ち込むようにオーダーを取る・・・それを全注文の30%以上という目標設定をしていることがユニークです。

目的は接客による顧客満足の高位維持

目標化の目的は、接客によるおススメや会話そのものによる顧客満足度を高位に維持すること。と同時に、モバイルオーダーの下記のメリットを同時に実現しようとしているのです。

モバイルオーダーのメリットは?

同店はリピーター比率も極めて高く、また坪月商も50万超とモンスター級、利益率も30%前後と高い。好業績の同店ですから、考え方によってはモバイルオーダーで無く従来通りの人によるオーダーテイクでも良いのでは?という考え方もあるでしょう。しかしながら、同店でも下記のメリットは充分に発揮されているものと思われます。

  •  繁忙時の追加オーダー待ちなど機会損失防止

  •  同 オーダー待ちによる顧客不満防止

  •  個室や遠隔席などへの対応

  •  スタッフ配置が十分でない日の対応

  •  ID獲得による販促

  •  「投げ銭」システムの活用

こういったモバイルオーダー特有の機能によるメリットは充分に活用されているようです。モバイルオーダーは、導入によって○か×か…顧客接点の在る無しを決定してしまうものではなく、活用の仕方によって“良いとこどり”することが出来、正に「人withテクノロジー」=人とモバイルオーダーのハイブリッドな活用が進んでいる事例と言えるでしょう。 

他のデジタル機器ではどうか?

こうしたハイブリッド活用は、他のデジタル機器も同様と思われます。

配膳ロボットの場合
配膳ロボットも大型店を中心に導入している店舗が増えてきており、様々な運用が見られます。

  •  すべて配膳ロボットが行う

  •  人が届けられるときには人がテーブルへ運ぶ

  •  ステーション(ホール内の中継地点)まで配膳ロボットが運び、各テーブルへは人が運ぶ

  •  バッシングのみで活用

  •  デザート等追加注文のおススメを表示して店内を練り歩く

こした活用例が見られ、これらも「人withテクノロジー」のハイブリッド型運用と言えるでしょう。

業務のリバンドル時に創造的なハイブリッド化を進める

業務のアンバンドル→リバンドルについてはこのコラムでも書かせていただいておりますが

  • アンバンドル:業務を詳細に“分割” 重要度、優先度を評価 デジタル化可能性を吟味

  • リバンドル:分解した業務を再構築する

このリバンドル時に、デジタルツールをどう活用するか?〇か×かではなく、どういう場面で使い分けるのか?を検討することが有効かと思われます。

使い分けのキーワード

人で対応、デジタルで対応を使い分けるキーワードがいくつかあるように思います。

  •  繁閑

  •  ランチ、ディナー

  •  曜日

  •  時間帯

  •  個室、半個室、遠隔席など目が届きにくい席(はモバイルオーダー)

  •  初回オーダー/追加オーダー

  •  追加ドリンク(はモバイルオーダー)

  •  飲み放題/食べ放題コース(はモバイルオーダー)

  •  皿、カトラリー、おしぼりなど(はモバイルオーダー)

業態や規模によっても顧客体験価値は異なりますから、自店舗の「顧客体験価値」はいかなるものかの見極めを元に、従業員負荷の高い業務は何か?の観点を加えて使い分けを設計→リバンドルすることが有効と考えられます。

飲食店とベンダーが共に

実際には現場の細かなオペレーション各論において、スムーズに、シームレスに業務が繋がることが当然重要になってきますので、ベンダー側は現場のオペレーション各論に突っ込んだ共創が求められます。

飲食店の顧客体験価値を明確にしたうえで、デジタル化のデメリットポイントを考え抜いた…「こうすれば出来るのでは?」という提案が、飲食店を、そして業界を進化させていくのだと考えます。

竹田クニ

株式会社ケイノーツ

代表取締役

早稲田大学商学部卒業後、1988年株式会社リクルート入社。HR事業、旅行情報事業の営業部長、じゃらんリサーチセンターで地域活性事業のプロデューサー、経営企画部中長期戦略室などを経て2011年に飲食情報事業のシンクタンクHPGリサーチセンター(現・外食総研)の初代センター長に就任。計29年在籍の後、2016年に独立し(株)ケイノーツ設立。現在は外食マーケティングのスペシャリストとしてマーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに記事執筆、講演活動、フードビジネス関連企業のアドバイザリー・顧問、食のビジネスマッチングなど活動中。

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