
2024.02.06
【飲食店最前線巡り #3】飲食店の投げ銭システムは来店者とスタッフの橋渡しになるか
飲食店最前線巡りⅡモノ消費からコト商品への変化が語られて久しいですが、急激に市場規模が増えているのが応援商品。クラウドファンディングや推し活などこれを読んでいる方々も何かしら「応援」のための消費をしたことがある人は多いかと思います。
「推し活」は2021年の流行語大賞にもノミネートされ、2021年の市場規模としては「アイドル・アニメ」のに絞っても4千億円以上と試算されています。他にも声優やアーティストなどジャンルは幅広いので全てを含めるとかなりの巨大市場であることがわかります。
文化放送の調査によると、推し活にかける毎月のお金は5千円から3万円がボリュームゾーン。回答者のうち、15%の人が3万円以上を使っていることには驚きました。それだけ誰かを応援することにお金を使っている人が多いわけです。

【出典】文化放送リスナーアンケート
https://sales.joqr.co.jp/blog/52
飲食業界でも投げ銭の導入がちらほら
応援消費は飲食業界でも活用する企業、店舗が出てきています。海外によく行かれる人にはなじみがあると思いますが、料理やサービスに感謝を伝えるチップ制に近いかもしれません。
「推しエール」という投げ銭の仕組みを導入しているお店を見つけたのでさっそく行って実体験してきました。海外のチップ制は個人的にはとても良い制度と思っていますが、日々の暮らしでは推し活と呼べる行動はありません。投げ銭はエモーショナルな経済行動なので、先に私のスタンスはお伝えしておきます。
「推しエール」を提供する株式会社diniiの発表によると、2023年10月の利用店舗全体での推しエール総額は841,662円とのこと。分母となる導入店舗数がわからないため多いのか、少ないのかの判断はできないですが、プレスリリースの中では一カ月で6万円を超える投げ銭を得たスタッフさんが紹介されていました。
出典:株式会社dinii プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000061.000043056.html
入口からピカピカの「億万鳥者」へ
株式会社diniiの「推しエール」を導入するお店の中から、コンセプトが面白そうな「一億円で居酒屋建ててみた。 億万鳥者 新宿本殿」というお店をセレクト。店名だけでも個性の強さが香ってきますよね。
JR新宿駅の東口から徒歩3分ほど。ビルを上がってエレベーターを降りるとそこには金ピカの世界が広がっていました。正確には金というよりも照明をうまく使って黄金の世界を表現しています。まさに昨今流行の体験型飲食店で、ついつい写真を撮りたくなる仕掛け、内装が施されています。

「億万長者さまがいらっしゃいました~」との声かけで個室に誘導されます。この後出てくる投げ銭やスタッフからのお礼を考えると、個室で正解。店舗デザインの段階から推しエールの活用やスタッフさんによるお客さんとのコミュニケーションを想定していたのかなと感じます。

お通しはマカロン。こんな感じでスタッフが丁寧に説明をしながらサービスを提供してくれます。モバイルオーダーやロボットによる料理提供など、省人化が進む中で、人によるサービスを残し価値を持たせています。
金色がテーマのお店なので選ぶアルコールはやはり金の飲料がマッチします。

100円から出来る投げ銭システム
前置きが長くなりましたが、乾杯して少し料理を頼んだ後に投げ銭にトライしてみました。画像のように今日出勤のスタッフさんがアプリ上に登録されています。基本的には、接客してくれたスタッフで良いサービスをしてくれた方を選んで、応援、感謝を投げ銭として伝えるわけです。
ちなみにこのお店は注文はモバイルオーダーを採用しています。そのメニューの中に「推しエール」があり、投げ銭をするスタッフを選び、金額とメッセージを入力して送信で完了。

金額は100円から始まり、1,000円、5000円、最高は10,000円です。ステキな接客をする人にチップを渡す意義は感じつつも、5千円、1万円を渡す人の気持ちは私にはわからないですが、投げ銭をすると何が起きるのか…クラファンにおけるリターン的なことはあるのかが気になります。

ちなみにですが、料理も色々な工夫がされていました。金の食器を使ってお店のコンセプトを維持しつつ、料理もちゃんと美味しい。月曜日の夜ですが店内がにぎわっているのも納得です。
推しエールの「リターン」は?
投げ銭をしたのは、この日席に案内してくれたりビールを運んでくれたりと一番サービス機会が多かったスタッフに、まずは100円を。やがて「推しエールありがとうございました」とお礼と合わせて、私たちの不幸を退散させ、幸運を呼びよせる儀式を。ほんの短い間でしたが「自分たちのために時間をかけてくれている」というのはなんだかありがたく、幸せな気持ちになります。

料理の注文同様に、モバイルから推しエールをするとキッチンかサービスエリアの紙伝票かモニターにテーブル番号と金額が表示されるのでしょう。それを見てスタッフさんがやってきてくれる仕組みのようです。
興味深いのは人によってリターンが違うこと。他には「ものまね」や「一発芸」的なことをしてくれるスタッフさんも。ただ、すべてのスタッフ、すべての投げ銭にリターンがあるわけではないようです。投げ銭をしても何の音沙汰もないスタッフもいらっしゃいました。
ここまで読んでくれた方が今一番気になる質問をしっかり聞いてきました。「投げ銭のうち、スタッフさんにはいくら入るの? 」
働くスタッフにとって投げ銭はハッピーか

いわゆるリターンとして「質問になんでも答える」と書いているスタッフさんがいたので、この方に聞いてみることに。金額とリターンの重みはどんな感じで違うのか、やや酔ってきた私たちは思い切って最高金額の1万円を投資します。
驚いたように個室に駆け込んできたあみさん。さすがに1万円は頻繁にあることではないようで、間違えたのかと思って…とのことでした。早速質問をぶつけてみましたが、スタッフがもらえる比率は「内緒」とのこと。せめてヒントだけでもと色々話してわかったのは、芸能事務所のバックの比率と同じくらいらしい。なので50~60%くらい。つまり1万円の投げ銭があれば、5千円くらいが本人のもとに渡るようです。

働くスタッフにとって投げ銭はハッピーか
アプリ上ではスタッフさんごとに投げ銭された回数が表示されています。この日出勤していて最も多い人で100回。入店してからの累積らしく、この方は入社1年6カ月ほどとのことなので、月に平均5~6回の推しエールがもらえているようです。1回の投げ銭金額は平均300円として、かつ半分が本人に入るので月に750円くらいが給料と別にもらえる算段です。
人によって多い少ないの差はあるでしょうが、もらえる機会が用意されていることはサービスの質向上にはつながる印象です。アプリ上でももらった数が表示され、ほぼその人のパフォーマンスと評価できるので意欲は高まるかもしれません。
良い対応してくれた、すばらしい接客だった…と料理以外で飲食店で感動体験をした経験は誰にでもあると思います。そのお礼を言葉以外で、しっかりご本人に形で伝えられる場はとても良いと思いました。外食産業はアルバイトとして月に170時間働いても、都心での一人暮らしは難しいと言われます。私も外食に携わる一人として、この業界の給与基準が低いことはクリアすべき課題と思っていて、給与以外に収入を増やす手段としては投げ銭もありなのかもしれません。
こんな仕組み、こんな情報がわかればもっと「応援」したくなる!を考えて終わりにします。
・アルバイトをしている目的がわかる。学費自分で払ってますとか、留学費用とか。
・出身地。同郷の人は応援したくなる
・将来の夢。こんな仕事をしたいのでそのためにがんばっています。そこから仕事に繋がることもありそう。
・キッチンで働く人も応援してもらえる機会を作る

推しエールで投げ銭できるお店はこちら
◎一億円で居酒屋建ててみた。 億万鳥者 新宿本殿
JR新宿駅から徒歩3分
東京都新宿区新宿3-36-12杉忠ビル
https://www.hotpepper.jp/strJ001295015/

モバイルオーダーや推しエールの仕組みを提供している
「ダイニー」はこちら
◎株式会社dinii(ダイニー)
https://www.dinii.jp/














































