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2024.06.24

SoundHound AIがAllsetを買収!ボイスコマースで飲食業界が変わる

海外飲食DXニュース

「周りの音が大きいからタップして注文するね」といった発言を5年後にはするかもしれません。

2024年6月20日、音声AI企業のSoundHound AI(サウンドハウンド・エーアイ)は、地元の飲食店と顧客をつなぐオンライン注文プラットフォーム「Allset(オールセット)」の買収を発表しました。

同社は、音声で飲食店に注文できる機能をスマートカーやテレビに導入するという目標を掲げています。

いずれは、自動車や部屋の中で話しかけて注文できる「ボイスコマース(Voice Commerce)」が実現するでしょう。

このような話を聞くと、AIによる音声注文サービスの普及が目前のように感じるかもしれません。

しかし、大手マクドナルドは、音声AIを活用したドライブスルーの中止を発表しています。

そのため、音声AIによる自動注文受付が身近なサービスになるには、解決しなければいけない課題が多いようです。

飲食店に音声で注文ができるボイスコマースの実現が近づく

飲食店に音声で注文ができるボイスコマースの実現に近づく

今回の買収でSoundHound AI社は、顧客が自動車やテレビから声で料理を注文できる「ボイスコマース」の実現に近づいたといえるでしょう。

買収したAllsetのプラットフォームを導入している約7,000軒の飲食店に、音声AIによる自動注文受付サービスを提供できるようになったからです。

買収されたAllsetは、料理の持ち帰りサービスに特化したプラットフォームを提供している企業です。

そのため、フードデリバリーで有名なDoorDashやUber Eatsとは異なり、宅配はしていません。

また、利用する飲食店に対して安価な手数料を設定しており、利用しやすいサービスとなっています。

具体的には、飲食店は5%のコミッションと、2.9%の手数料のみという導入しやすい料金体系です。

さらに顧客には、地域の飲食店で料理の持ち帰りを注文すると、最大15%のキャッシュバックを獲得できるという地元密着型です。

そのため、地元で人気の飲食店の料理を楽しむことができ、双方にとってコスパの良い注文プラットフォームといえるでしょう。

プレスリリースによれば、SoundHound AI社に買収されてもAllsetのプラットフォームは今まで通り運営されるそうです。

いずれは、プラットフォームにドライブスルーや電話受付に対応した自動注文受付サービスが実装され、飲食店に販売されるでしょう。

すでにSoundHound AI社は、10,000軒以上の飲食店に音声AIサービスを提供する大手サプライヤーの1つです。

また、車両や家電製品などのスマートデバイス向けにもAI音声システムを提供しています。

このように実績のあるSoundHound AI社にとって、今回の買収は「ボイスコマース」の構築で重要な役割を担うでしょう。

マクドナルドは音声AIによる自動注文受付の試験運用を終了

音声AIによる自動注文受付の試験運用を終了

前述した内容を知ると、数年で音声AIによる自動注文が実現すると感じるかもしれません。

しかし、音声AIの自動注文の普及はまだ先のことになりそうです。

6月14日、マクドナルドは、IBMと共同で試験運用を行っていたAIドライブスルーの使用を中止すると発表しました。

この試験運用は、2021年10月から始めて、100店舗以上で実施された規模の大きなものでした。

しかし、音声AIによる注文の精度は80%台前半にとどまり、運用コストも問題となっていたそうです。

海外メディアによれば、7月26日までに同サービスは停止・撤去が予定されているそうです。

TikTokでは、自動注文受付で正確な注文ができずに戸惑う動画が散見されます。

@that_usa_guy Trying the McDonald's AI drive thru....Again @McDonald’s Corporate #fail ♬ original sound - Dal JustDal

もちろん、マクドナルドは音声AIの可能性をあきらめたわけではなく、将来的に別の会社の音声サービスの導入は示唆しています。

とはいえ、飲食店で音声AIが電話対応やドライブスルーを担当するのは、まだ先のことになるでしょう。

注文はパターン化できても注文の仕方や発音は統一できない

注文の仕方や発音は統一できない

音声AIが飲食業界で注目されているのは、ドライブスルーや電話での注文受付を自動化できるとされているからです。

これにより店舗は、より少ないスタッフで運営できたり、他の作業に専念できたりします。

しかし、注文の正確性に問題がある場合は、スタッフが確認する手間が発生し、音声AIサービスの費用と人件費でコストが逆に増えてしまうでしょう。

そのため、2024年6月現在の音声AIが、こちらの意図した会話を正確に汲み取れるかは疑問が残ります。

実際のところ、発音や音声、注文の仕方は個人で異なります。

日本国内でも同じ単語の発音が異なっている場合が珍しくありません。

民族や文化の異なる他民族国家では、さらに多様な発音や言い回しに対応しないといけないため、自動注文受付サービスの難易度が上がるはずです。

これが前述したマクドナルドが自動注文受付サービスの試験運用の中止、本格導入を先送りにした理由と考えられます。

したがって、音声AIによる完全自動の注文受付が実現するには、まだ時間がかかると考えるのが妥当でしょう。

音声だけで飲食店に注文できる車やテレビの実現が近づく

音声だけで飲食店に注文できる車やテレビの実現が近づく

6月20日、音声AIの大手SoundHound AI社が、オンライン注文プラットフォーム「Allset」の買収を発表しました。

Allsetを買収したことで、オンライン注文プラットフォームを導入している飲食店に、音声AIサービスを提供できるようになります。

将来的には、音声AIによる自動注文受付が「Allset」の注文プラットフォームに導入され、ドライブスルーや電話対応の自動化が進むでしょう。

また、同社は自動車やテレビから飲食店に音声注文ができる仕組み「ボイスコマース」の実現を目指しています。

ただし、音声AIが私たちの声から正確に注文内容をくみ取れるようになるには、時間がかかりそうです。

それでも、ボイスコマースが実現すれば、画面をタップすることも少なくなるでしょう。

参考サイト

SoundHound AI Acquires Ordering Platform Allset to Fast-Track Its Vision of a Voice Commerce Ecosystem - SoundHound

McDonald’s Pauses Drive-Thru AI Chatbot Test

Joint Statement from McDonald's and IBM

前田淳一郎

グラフィック制作カタパルト

代表

1983年岐阜県生まれ。プログラマー、整備士、物流と転職し、日本橋で寿司職人の世界に入り、立ち食い寿司屋の店長になる。原価の高いをいわれる寿司で、原価調整と材料管理を徹底し、原価を平均25~30%に抑える。その後カナダで移民に挑戦し、現地の海上コンテナのフォワーダー企業に勤める。帰国後に外資系に勤務。
2020年より、Webライターをしながら世界の新しい「食の常識」を発信中。

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