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2024.12.17

「不」のマーケティング と 「欲」のマーケティング ~飲食店に必要な考え方は?~ 

竹田クニのインサイト

事業構想の定石として長く語られてきた「不」=不便、不都合、不満の解消。
これは間違いなく事業構想に必須の基本的な考え方であります
しかしながら筆者は、飲食業の場合はそれに加えて、「欲」=欲望のマーケティングが必須であると考えております。

事業構想の定石!「不」の解消

新たな事業を構想、あるいは現事業の評価を行う際に、「不」の解消は定石とされている。

「不」とは、生活者が抱える…不便・不都合、不満・不安・不足・不幸・不快 などを指します。

多くの企業で、「新規事業開発室」といった組織があったり、「新規事業コンテスト」などの取り組みを行っており、事業開発の専門コンサルタントがこうした組織の支援サポートを行っている企業も多くあるようです。

 「不」の解消は事業構想の定石 月刊「事業構想」オンラインより 
新規事業開発、成功のカギは? 解消すべき「不」の見極めが大切 | 2019年6月号 | 事業構想オンライン (projectdesign.jp)

生活者が「自覚」「無自覚」に関わらず、上記の「不」を定義し、その解消によって得られる利便性や快適さを実現する新たな商品サービス、供給体制を考えるわけですから、そこにはマーケティングが必須であります。

5W1H →8W3H

マーケティングの基本的な考え方の一つとして有名な「5W1H」ですが、実践では更に「8W3H」+αの具体化・詳細化が必要になってきます。いつ誰が、どんな「不」を感じているのかを定義し、それをどんなやり方で解消するのか?これが基本的な考え方であります。

飲食店に必須の 「欲」のマーケティング

飲食店、もっと言えば食ビジネス、エンターテインメントでは、「不」のマーケティングだけでは不十分で、「欲」のマーケティングが必須であると考えております。

筆者が考える「欲」のマーケティングとは・・・

 「不」・・・不便・不都合、不満・不安・不足・不幸・不快 など
 「欲」・・・美味、快楽、希少性、達成感、高揚感、自己承認、ステイタス、癒し、貢献感、善行感 など

飲食店には様々な業態・用途が存在し、それによって利用者が求める価値は異なってきます。例えば、日常の食事に求める「不」、わかり易さ、スピード、利便性などが中心となるでしょう。一方、記念日や接待というハレの利用では、料理、設備、接客などに対する融通性などが「不」と感じられややすい。

「欲」にも色々あって、享楽、煩悩に属するものがあれば、情緒的、道徳的なものもあります。つまり、飲食店とは生活者の人生における様々なシーン(食事の機会)に対して食を提供するだけでなく、「心」を満たす役割を果たす「メディア」でもあるわけで、そのため「不」の解消=利便性・効率性だけでは足りないのです。

消費者(生活者)の様々な「欲」に応える

例えば

  • 匂いまで伝わってきそうなステーキの写真・動画

  • 大盛のご飯にたっぷりのカレーと大判のカツとソーセージが乗った満腹・ガッツリメニュー

  • ブランド地鶏を40数年つぎ足しながら使っているタレで焼く焼き鳥

  • 旬の時期、20食限定の朝どれ活〆の魚

  • 町中華で長年愛されるシンプルだけど激うまのチャーハン

  • 売上金の一部を地元の「海洋保護プロジェクト」に寄付

  • 一般には流通しない蔵元から直接仕入れた貴重な大吟醸

 

 ※写真はあくまでイメージで、特定の商品を表現、推薦・推奨するものではありません

こうした、「美味しそう!」「わぁ、食べてみたい」「あの人をもてなしたい」「貴重な体験になりそう」・・・
こうした「欲」を考える時に、上述の5W1H、8W3Hは必須の考え方。特にWHOM(誰に)は重要で、ターゲットによって感じる価値は様々。どんな人の、どんなシーン(食事機会)に、どんな価値を提供≒「欲」に応えるかが飲食店にとって大切になります。

DXとの関連「不」の解消から、「欲」の開発・実現へ

考えてみると

  • 「不」の解消はどちらかと言うと、QSCなど基礎的な価値

  • 「欲」は味やサービスの良さ、雰囲気、ホスピタリティ、競合差別化

に属するイメージであると思います。

DXは、省力化・省人化、人手不足対応、コストダウン、生産性向上・・・「不」の解消につながる価値のイメージが強く、ここ数年は時代の要請もあって急速に進んできました・・・もしこれが日本の外食DX1.0なのだとすれば、外食DX2.0は「欲」のマーケティングに向かうべき、と筆者は強く感じております。

そのためには、消費者の様々なシーン(飲食機会)をとらえ、客層ごとの消費傾向・嗜好の在りかを想像し、お客様が「納得」「驚き」「発見」し“行きたい!食べたい!”と思ってもらえる商品・サービスを創り出していく。

つまりこれが、マーケティング→商品・サービス開発の流れであり、ますます必要かつ重要になると思われます。
私は外食マーケティングの専門家として、飲食店、飲食店を支援する企業の皆さんと共に外食DX2.0について考え、そして発信していきたいと考えております。

竹田クニ

株式会社ケイノーツ

代表取締役

早稲田大学商学部卒業後、1988年株式会社リクルート入社。HR事業、旅行情報事業の営業部長、じゃらんリサーチセンターで地域活性事業のプロデューサー、経営企画部中長期戦略室などを経て2011年に飲食情報事業のシンクタンクHPGリサーチセンター(現・外食総研)の初代センター長に就任。計29年在籍の後、2016年に独立し(株)ケイノーツ設立。現在は外食マーケティングのスペシャリストとしてマーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに記事執筆、講演活動、フードビジネス関連企業のアドバイザリー・顧問、食のビジネスマッチングなど活動中。

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