
2026.02.18
ウェルビーイング的ペルソナ考察 今後の市場を動かす価値のキーワード
竹田クニのインサイト飲食店マーケティングにおける「ターゲット」設定は重要であることは言うまでもない。
いわゆるSTPマーケティングは4P(近年では4C、4E)と並ぶ基本であり、ターゲット=狙う顧客層の明確にすることは、業態、商品戦略だけでなく、サービスの設計においても重要。
本コラムでは、これからの市場に向けたターゲット設定として、新たなペルソナについて考察してみる。
外食市場に特化したペルソナ 2012年発表「外食する人びと図鑑」
例えば「20代後半の女性」・・・といったところで、堅実な人も居れば、浪費家も居る・・・そもそも人は多様である。
実践的なターゲット設定においては、性年代のみでターゲットを語ることは誠に不十分で、趣味嗜好、価値観、可処分所得etc. 性年代以外の多様な要素で類型化を行うことが重要で、これを「ペルソナ」と言われる類型化手法でこれまでも活用してきた。
筆者は、飲食店にとかくありがちな性年代だけの“ぼんやりしたターゲット設定“からの脱却を企図し、2012年に「外食する人びと図鑑」を発表しました。


消費者のタイプを計11種類に分類 さらにホットペッパー流にわかりやすくキャラクタ-化 | ホットペッパーグルメ外食総研「すべての人に、食で笑顔を。」
当時、「ターゲット」を飲食店がわかり易く可視化出来るようにという目的でわかり易くアイコン化し
♪ウチのターゲットは、コレとコレだよね~、
♪この人たちに興味関心に刺さる、満足度を上げるにはどういうやり方が良いか?
といった会話を、指さしながら、動物図鑑を見るように楽しくやってもらいたい…という意図で「図鑑」と名付けました。
発表当時、大変ご好評いただき、色んな協会・団体、食品メーカーなどでセミナー・勉強会でお話をさせていただきました。
いくつかの「タイプ」には普遍性あり?
発表から13年が経ち、社会、経済、景況、テクノロジー、文化は勿論変化・進化しているわけですが、外食する人々図鑑で描いた“11のタイプ”(ペルソナ)のうちのいくつかは一定の普遍性があるようで、今でも充分有効であるものと思います。
図を見ていただくと、“こういう人”…今でもあなたの身近にきっといるはずです。
新たなペルソナ…新たなターゲット像の必要性
本コラムでは最近の記事において、「ウェルビーイング」や「第五の消費」といった新たな消費価値観について紹介してきました。2010年代:モノ→コト→イミ消費、2020年代前半:SDGs、ソーシャルグッド、そしてこれから向かう2020年代後半に向かう潮流の変化を大いに感じます。
こうした2020年代後半に向けた新たな潮流に感度が高く、トレンドセッター、リーダー的に動き始めた消費者像を描くことが今必要と考え、プロトタイプ(試作品)として作成を試みました。
新たなペルソナ
今回新たに作成したのは6つの新たなペルソナ。
幾人かのマーケター、飲食店経営者とのディスカッション、飲食店事例をもとに、新しい価値概念に敏感&先進的に反応するタイプを描きました。



プロトタイプであり、詳細な調査を実施たうえで描き出した訳ではないので、現段階ではあくまで参考資料ですが、こうしたタイプの人びとは、近年存在感が出てきていると感じます。
まだアーリーアダプター?
新たな6つのタイプをみると、都市部在住、比較的可処分所得が高い層に見えます。
こうしたタイプの人々は2026年現在では、まだアーリーアダプター的であると考えられますが、イノベーター理論の如くそれは年を追うごとに大衆に影響を与え、マジョリティ層に伝播・浸透していくことはこれまでの歴史をみても明らかでしょう。
その意味で、ウェルビーイング、第五の消費の概念に通じる価値を提供する飲食店、そこに来店する人々に注目し、今後のトレンドの背景となる“骨太な潮流”を意識しておくことが大切と考えます。

今のところ大都市圏在住者、積極的職住分離に多い?
こうした新たなタイプの人びとは、今のところ大都市圏に存在確率が高そうと考えられます。
ウェルビーイングは世界的な潮流でありますが、「食」に空腹を満たすという生命維持的な基本価値に+αの価値を求めるのは、相応の金銭的余裕、情報感度を持ち、周囲に“そういう価値提供する飲食店”の存在が必要と思われるからです。
一方、近年では、仕事は大都市圏だが、住んでいるのは郊外や地方都市…という先進的な働き方で積極的に職住を分離させる人も存在しますが、こうした人々もウェルビーイング的なタイプと考えられますね。
ライフスタイルリッチの進化系?
金銭的余裕、情報感度、文化度…で考えると、これらの6つの新たなペルソナは、外食する人々図鑑2012で描いた「ライフスタイルリッチ」が今の社会情勢、経済環境に順応して変化進化している姿ととらえることが出来そうです。
ウェルビーイングな価値に「¥を払う」のは、やはりこうしたタイプの人びとなのでしょう。

ペルソナ試作で見え始めた、新たなキーワード
今回AIも活用しながら施策を進めていく中で、いくつかの顧客インサイト的キーワードが出てきたと感じています。
新たなキーワード
「没入感」・・・何かの世界観に浸る
「リトリート」「デトックス」・・・整う、再生する、毒を抜く
「店主の人柄」・・・意外と語られない常連の大切な価値 パーソナリティという新たな店の価値
「自己肯定感」…正しい、好きな消費行動に対する充実感、多幸感
「投資」・・・自己の心身、社会課題への投資
「トライブ」・・・部族、種族の意。マーケ用語では特定の趣味、ライフスタイルの人が集まるコミュニティを指す
「古さ」「不変」・・・新しさや流行という浅薄な文化でなく、文化的な自己で居ることへの正義と安心
総じて、人間の内面的な“ウェルネス”を言っており、これが外食の提供価値として新しさがある。
体験価値の進化を言語化
これらのキーワードは、飲食店の体験価値の進化として注目すべきと考えます。
その店で、そのメニューで得られる「価値」は、味や食材だけでなく、調理・提供技術、店のデザイン・雰囲気、店主・スタッフパーソナリティ、接客スキル・・・総合的なものでありますが、それらの価値が、お客様の“どんな内面的なウェルネス”に繋がるのか?
メニュー企画、メニューの名称、接客の在り方・・・飲食店にとって新しいヒントになると考えております。

竹田クニ
株式会社ケイノーツ
代表取締役
早稲田大学商学部卒業後、1988年株式会社リクルート入社。HR事業、旅行情報事業の営業部長、じゃらんリサーチセンターで地域活性事業のプロデューサー、経営企画部中長期戦略室などを経て2011年に飲食情報事業のシンクタンクHPGリサーチセンター(現・外食総研)の初代センター長に就任。計29年在籍の後、2016年に独立し(株)ケイノーツ設立。現在は外食マーケティングのスペシャリストとしてマーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに記事執筆、講演活動、フードビジネス関連企業のアドバイザリー・顧問、食のビジネスマッチングなど活動中。










































