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2024.04.24

クレームは氷山の一角?「ディスサテ」への想像力と解消への創造力が良い店を作る 

竹田クニのインサイト

いわゆる「苦情」は、日本では「クレーム」と呼ばれることが多いと思いますが、英語では少し幅広い意味として「コンプレイント」(complaint)が使われることも多いようです。コンプレイント≒不満を感じる…例えばネガティブな口コミなどは、顧客からの要望や主張までには至らないものの、他顧客への影響が大きく早急な対応・改善が求められるものも多いでしょう。これらの“シューティング“に対して、顧客満足(CS,CX)へのアプローチは全く異なるものと考えられます。

今回は利用者が感じる「不便、不都合、不満足、不十分・・・」から「大満足、満足、また来たい、ファンになった・・・」を段階に分けて考えてみたいと思います。

「クレーム」「コンプレイント」と「ディスサティスファクション」

まずこれらの概念を整理したいと思います。

  • クレーム(claim)
    商品やサービスに対して不満や不具合を指摘し、改善や対応の要求・請求

  • コンプレイント(complaint)
    不平,不満,苦情,クレーム,小言,ぐち,泣き言の意英語ではクレームに近い意味から、不満に思うといったものも含む幅広い用例

  • ディスサティスファクション(dissatisfaction)
    不満、不平と言う意味だが満足に至らない、満足に足りない…といった用例が多いようです。

リピートしない理由は「なんとなく」?

下記はWEB制作ほか飲食店の業務支援サービスを行っている株式会社YsLinkが行った調査。

飲食店リピートされない理由【アンケート調査結果】- 株式会社Yslink(ys-link.co.jp)

顧客が再来店しない理由の第1位が「なんとなく(忘れていた)」

「なんとなく」とは何だろうか?…
記憶に残っていない、美味しかった、雰囲気が良かった…など、記憶に残るものが無かったため、「忘れていた」のだろう。

一方で、同調査の3位以下に見られる各種「不満」は、その一部がクレームやネガティブ口コミに展開されるものもあるだろうし、当事者には「マイナスの記憶」として刻まれている可能性は高い。

クレーム、コンプレイントというマイナスの評価まではいかないが、“何がしか“不足や至らぬ点を感じ、いつの間にか顧客の訪店候補としての記憶から消去されていく。

筆者はこの「なんとなく」に、「微マイナス以上、満足未満」というなかなか見えづらい顧客評価が眠っているように思えます。

飲食店の思考の空白かもしれない「ディスサテ」

「クレーム」は最も強い、顧客からの不快・不愉・不満損害の積極的な主張でありますが、顕在化したクレームの陰(水面下)にはもっと多くの顧客の不平、不満=コンプレイントがある可能性が高い。これがクレームを「氷山の一角」とする、コンプレイントの考え方です。

そして、これを顧客満足と繋げ階層化して考えたのが下図です。

「コンプレイント」と「満足」の間に、「まぁ良かったんだけど、ちょっとね…」という非常に曖昧な顧客評価が存在すると考えられます。

このゾーンを「ディスサティスファクション」・・・略して「ディスサテ」と定義していします

顧客が、概ね満足、充足されたと感じていても、何かしらの「不足感」「違和感」「不便さ」を感じたりしていることは意外に多いかも知れません。そして、その多くは「顕在化しない」。

  • まぁフツーに美味しかったけど、ちょっと料理出てくるの遅いよね…。

  • 接客が“イマイチ”だったけど、まぁ人手不足だから仕方ないか…。

こうした顧客の感想は、「別に悪いとは言っていない」という微妙なもので、顧客側から積極的に発信(クレームや口コミなど)されるケースは少ないと考えられます。

そして、そしてこれが「サイレントマジョリティ」として、店の評価や評判にじわじわと市場・顧客に浸透し、「なんとなく忘れ去られる」ということに繋がっているかもしれません。

満足度調査、アンケート調査の活用と盲点

店の商品サービスへの評価、改善ポイントを「見える化」するために、顧客アンケートや覆面調査を行っている飲食店さんも多いことかと思います。

ある程度の予算はかかるものの、顧客の評価を可視化・定量化し、改善課題を明らかにするための王道と言えるでしょう。

ターゲット顧客、シーン(外食機会)からの声かどうかの判定が課題

とある大手ファストフードチェーンでは、定期的に実施するアンケートの中に一定数「ヘルシーなメニューが無い!」「女性向けのおしゃれ商品が少ない」という声があるそうです。

しかしながら経営者曰く…「ヘルシーメニュー、おしゃれメニューを出してもヒットしたことが無い!」

そして、「アンケートには“答え”が書いてあるわけではない。顧客の声に真摯に耳を傾けつつも、多くの顧客が店に期待している価値は何か?を見極めることが重要」と話している。

飲食店のアンケート調査ではどうだろうか。

例えば、「料金が高く感じた」「コスパが悪い」「ヘルシーなメニューが欲しい」・・・など主観的要素が強い項目については

該当する回答は多いのか少ないのか?誰が言っているのか?を出来る限り明らかにすることが重要。

その意見を言っているのは「ターゲット顧客か?ターゲット外か?」によって、対応・採否を考慮すべきです。

ターゲット・シーン設定の重要性

ターゲット(どんなタイプの人)・シーン(どんな外食機会)の設定は飲食店のマーケティングに必須&重要であります。

例えば、お会計が一人4000円として、それを高く感じる人と、安く感じる人が居ますし、同じ人でも「仕事帰りの飲み」or「お祝いの席」など…シーンによっても変わります。

このターゲット設定をわかり易く、簡便に出来るツールとして、少し古い資料になりますが

株式会社リクルート ホットペッパーグルメ外食総研が発表している「外食するひとびと図鑑」があります。

消費者のタイプを計11種類に分類 さらにホットペッパー流にわかりやすくキャラクタ-化 | ホットペッパーグルメ外食総研「すべての人に、食で笑顔を。」 (hotpepper.jp)

ディスサテへの想像力、改善策の創造力が良い店を作る!

クレーム解決は即時対応が必須。ネガティブな口コミで露出されるコンプレイントも早期の対応が重要でしょう。ディスサテは「サイレント」であることも多く、そこには店の経営者・スタッフの「想像力」が必要です。

そしてディスサテを想像する時に重要なのがターゲット・シーン設定。

例)私たちの店のターゲット客

  • 40代50代の会社員

  • 仕事帰りに同僚や部下を連れて労う、絆を深める

  • 特別でなくても、食べなれた定番の美味しい料理をリーズナブルに楽しみたい

  • 酒は高級でなくてよい、リーズナブルでそれなりに美味しい酒をたくさん飲みたい

本来はもっと詳細に属性を規定するのが定石でありますが(外食するひとびと図鑑で簡単に詳細化できます)

私たちの店のターゲットの「人」は、どんなメニューを喜んでくれるでしょうか?どんなサービスや接客を「心地よい」と感じてくれるでしょうか?

ここは「想像力」の世界。

では、ディスサテに対して、「新たにお店が提供できる商品は何か?」「どんな接客場面で具体的に何をするのか?」

これは「創造力」の世界。

と言えるのではないでしょうか。

まとめ

クレーム、コンプレイントは起きて欲しくないもの。クレーム・コンプレイン=「落第点」は早急な対応と改善が求められます。

しかしながら、それが無い、少ないからと言ってその店が全く問題課題が無いわけではもちろん無く、サイレントマジョリティーが抱く評価・感想が、店では見えないところで店の評価や評判を形成していく。

「ディスサテ」は、いわば“惜しい!”という分野かも知れません。「満足」ゾーンのスグ下にあるディスサテは、改善によって満足ゾーンに転じられる可能性が高いのではないか?言わば、もうちょっとで80点以上!という可能性に満ちている顧客群とは思いませんか!

ディスサテを満足に転じるために必要なのは、ターゲット・シーンを明確にし、物足りなさ、不足点、至らぬ点を「想像」し、改善点を「創造」する。

この取り組みの中に、デジタルツールの役割と課題も数多く存在していると考えられます。

竹田クニ

株式会社ケイノーツ

代表取締役

早稲田大学商学部卒業後、1988年株式会社リクルート入社。HR事業、旅行情報事業の営業部長、じゃらんリサーチセンターで地域活性事業のプロデューサー、経営企画部中長期戦略室などを経て2011年に飲食情報事業のシンクタンクHPGリサーチセンター(現・外食総研)の初代センター長に就任。計29年在籍の後、2016年に独立し(株)ケイノーツ設立。現在は外食マーケティングのスペシャリストとしてマーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに記事執筆、講演活動、フードビジネス関連企業のアドバイザリー・顧問、食のビジネスマッチングなど活動中。

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