
2024.04.05
【竹田クニ】見聞録:グローバル化する外食市場、2030年に向けた2つの課題
竹田クニのインサイト2023年12月の訪日外国人数がコロナの前2019年同月を上回り、2030年のインバウンド消費額は約5兆円と過去最高を更新。続く2024年は前年を上回ることが確実で、2023年には6000万人という「3倍以上」の来訪者数が予想されています。
一方、業界課題は2024問題(物流)、2030年問題(人手不足)は深刻な問題であり、官民のチカラを合わせた構造改革が求められています。
外食業界はいかにして“スグそこにある未来”に対応していくべきなのでしょうか?
市場はもはやグローバル。現在の「3倍以上」の外国人が訪れる2030年
2023年 2506万人(2019年の8割)5.3兆円
2030年 6000万人 15兆円
というのが予想されている数字で、現在の約3倍の数字になるわけです。
現在でも、大都市圏、有力観光地は“オーバーツーリズム”問題が議論されている中、3倍の外国人来訪者が訪れる世界が、スグそこまで”来ているわけです。
大都市圏、観光地はもとより全国津々浦々へ訪日外国人のお客様が訪れることになるでしょう。

日本経済の期待。外食が「輸出産業」になる?
15兆円という額は、自動車産業を始め製造業の輸出額を大きく上回り、このことは「外貨獲得」産業として今後の日本の大きな期待を担うという事になります。
あまり聞きなれない表現かもしれませんが、インバウンド消費は「輸出産業」、外貨を獲得するという意味において輸出産業と言えるのです。
従来から「GDPの約7割、雇用の7割がサービス業」であり、サービス産業の中でも25兆円という規模の外食産業が、日本の経済成長にとって最重要の一つであることは言うまでもありません。

外国人客が増えることによる「飲食店のチャンス」と「飲食店の不」
インバウンド消費が増え、それが日本経済にとってプラス…。総論的には理解ができるものの、個々の店では外国人のお客様に対しは様々でしょう。
大きくは①➁③に分かれるのではないでしょうか?
Welcome 積極的に集客し、売上拡大につなげたい
・稼働率があがる(集客余地がある)・単価が高い
・オフピークで来店
Welcomeまでは行かないが、“そういう市場、時代”だから対応できるようにする
・実際に一定数来店があるので対応しなければならない
Not Welcome
・ハード(メニュー、店舗内外の表示)、ソフト(外国語での接客)にコスト、手間がかかる
・接客に時間・手間がかかる
・単価が低い
・常連客の不満に繋がらないか?
・従業員の負担感
中小個店においては、【3.Not Welcome】の店も相応に多いと考えられ、レストランテック協会代表 山澤氏がFacebook上で取った簡易アンケートでは、下記のような「ナマ声」も寄せられました。
トリップアドバイザーで京都1位になって、海外の方が山ほど来られて、結果、スタッフのモチベーションが下がりました!😢
ノーショーが多い、時間に遅れる(うちは席の時間が決まってたので特にしんどかった)
LTV考えた時にインバウンドの短期的な集客と単発的な売り上げをとるより、本来定めてる日本人ターゲットのお客様にしっかりきて頂くことを考える方が大事だと思ってます😊
外国人の売上割合を設定せず、蛇口を開け過ぎた結果、店舗のQSCが崩れるというのは、顧客側の責任ではなく考えてなかった店舗側の責任だと思うんですよね。
来店されての課題は言語、コミュニケーションが大きいですがカタコト英語やGoogle翻訳でやり取りしてます。
ハラル、ベジタリアン、ヴィーガンは正直なところ積極対応はしてません。現有のメニューの中でおすすめ出来るものを勧めてます。
好む・好まざるに関わらず「日本の外食市場はグローバル化する」
何しろ、現在の3倍の人々がやってくるわけです。日本の外食市場は「多国籍」になることはほぼ確実なのです。
ではどうするのか? 外国人のお客様、従業員が感じる「不」を解消する。
外国人が来訪した際に、お客様、従業員が感じる「不」を極力発生させないための取り組みは必須と言えそうで、外国語表記メニューや、食べ方の説明等が有効でしょう。
それがあることで、どうしてよいかわからないお客様、コミュニケーションに苦慮するスタッフを最低限に抑えることが出来るかもしれません。
タブレット、スマホオーダーは必須
その為に有効なのは、やはりデジタル化。外国語表記は今や簡単に出来ますし、外国人がわかる説明を付加することはさらに有効でしょう。
先日セミナーでご一緒したお好み焼きで海外展開も積極的に行っている「千房」さん。同社でも、日本国内店舗でインバウンド向けに行っていることは、意外にもモバイルオーダーなど最小限。
接客では…
♪「いらっしゃい!」 ♪「おおきに!」
という関西弁での雰囲気ある接客に注力しているとの事。インバウンド=外国語対応ではないわけですよね!
好む・好まざるに関わらず、一定のデジタルツール活用と情報開示を「最低限」行うことにより、外国人が来店した際の混乱を防止する準備を整えておくことが重要でしょう。
WELCOME!積極的に誘客したい店は?
積極的に外国人に来てほしい…WELCOMEの店は、SNS、海外サイトへの出稿など積極策、自社HPの外国語表記、そしてスタッフ接客力を高めるためのある程度のトレーニングは必要でしょう。

Googleが生成AIでのガイド機能
アメリカでは既に生成AIをつかった「自然言語での検索&リコメンド」がGoogleに装着されたようです。
「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」という概念がありますが、特に旅ナカにおいて、ネット上に存在する飲食店情報の中から、単に店名・業態という情報だけでなく、GBP(Google business profile)はもとより、様々なメディアに掲載されるメニュー情報や口コミ、SNSなどの情報からリコメンドを行う世界が実現されつつあります。
2030年 「人材不足」「グローバル化」2つの課題に対するアプローチ
「人材不足」、「市場のグローバル化」。2030年に向かって「20世紀の成功体験」には“どこにも載っていない”変化が訪れようとしています。
スグそこにある未来を「チャンス」に変えていくために、今から新たな取り組みを行っていくことが重要と考えられます。

竹田クニ
株式会社ケイノーツ
代表取締役
早稲田大学商学部卒業後、1988年株式会社リクルート入社。HR事業、旅行情報事業の営業部長、じゃらんリサーチセンターで地域活性事業のプロデューサー、経営企画部中長期戦略室などを経て2011年に飲食情報事業のシンクタンクHPGリサーチセンター(現・外食総研)の初代センター長に就任。計29年在籍の後、2016年に独立し(株)ケイノーツ設立。現在は外食マーケティングのスペシャリストとしてマーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに記事執筆、講演活動、フードビジネス関連企業のアドバイザリー・顧問、食のビジネスマッチングなど活動中。










































