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2023.06.02

「スナックは簡単じゃねぇよ?」って話

酒井慎平の物申す!!

 こんにちは。酒井慎平です。あっという間に6月に投入しました。本当に時間が過ぎるのはあっという間ですね。雨模様の日も増き季節の変わり目を感じる今日この頃です。

 今回で第3回目のコラムということで、少しずつ執筆のリズムを掴んできたわけですが、勢い任せでお粗末な内容にならないように気を引き締めてやって参ります。まあ、このコラムは私の根拠の無いつぶやきみたいなものですから、コーヒーを片手に脱力して気楽にやらせていただきます!と開き直って(笑)ささっ、今回もやっていきましょう!

「スナックは簡単じゃねぇよ?」って話

そうです。今回はスナックについて私の想いを綴ってみたいと思います。

 というのも先日、株式会社水中代表の坂根千里代表とお会いして少しお話させて頂く機会がありました。坂根氏は98年生まれ、一橋大卒業後に新卒で老舗スナックの継承を行い「スナック水中」を東京・国立で営んでいます。

note:スナック水中 | 坂根千里

https://note.com/c_fish

彼女は、スナックを事業継承して10年後に100店舗という目標を掲げています。

すごい目標です。大いに期待したいです。

 スナック自体は、東京オリンピックの時代に始まり、当時の女性のスタートアップとして全国各地に誕生したようです。現状、スナック研究会によると全国のスナック数は約10万軒、多く見積もると16万軒。人口10万人あたりの軒数で比較すると全国で1番多いのは宮崎県で164軒あるそうです。

 スナックは、ナイト業態の大人の社交場として、新規よりも常連客を重視する傾向がありお客よりママが主導権を握り各店舗で独自のルールが存在します。スナックは、日本独特の飲み屋文化を代表する存在です。その魅力を一言で表すことは難しいですが、今回は”コミュニケーションスペース”という側面にフォーカスしてお話していきます。

 スナックといえばその居心地の良さです。狭い空間にカウンターやテーブルが配置され、店主やママさんとの距離が近くアットホームな雰囲気が漂います。ママを中心に常連客同士が顔馴染みになり、独自の地域コミュニティの役割を担っている老舗スナックもあります。

スナックにはコミュニケーションを助長するたくさんの仕組みがあります。

 まずはお酒です。各店舗で異なりますがメニュー数はかなり少なく絞られています。それは単に店内が狭く従業員数が少ないという理由もありますが、作業効率以上に店内の一体感を生み出すために同じお酒を飲むというのも一役買っています。

 私は、麦焼酎はソーダ割か水割りに梅干し入り、ウイスキーはロックと決めていて、その時の店内の雰囲気に合わせて注文します。いきなりママにお酒の銘柄を聞くのは野暮ってもんですよね。スナックという小空間に入店している時間は、ママに主導権を委ねてお酒を片手に何も考えず自由になるのです。

スナックでは、ママは司令塔です。

 ママは、普段の重圧や責任から自由になり解き放たれた大人たちの会話を回しながら、時に共感し、時に鼓舞し、時に叱咤激励して、スナックというエンターテイメント空間として全体をまとめていきます。

 お酒が入って自由になったお客たちの裸の会話をまとめ上げるには、視野の広さだけではなく、会話の瞬発力、持久力、ボキャブラリーが必要です。

 坂根さんとお話していると、相手の話を聞いて深く理解しようとする姿勢がとても気持ちよく、テンポの良い会話が続いていたら、急に鋭い角度の返答やツッコミが返ってきたりと、卓球のラリーをしているような気持ちになります。スナック・ママの会話スキル恐るべし。そのテンポの良さ、返答のボキャブラリー、そして人の話を粘り強く聞く持久力に圧倒させられました。

スナック・ママは、アスリートです。

 経済界には「スナック最強説」を唱える有識者もいます。スナックは、空いている箱を居抜きで借受けて、低家賃、低人件費、廃棄も少なく、初期費用も固定費も低額に抑えられます。

また、女性のスタートアップとしても優れたビジネス形態ですし、地方のナイトタイムエコノミーにも一躍を担う可能性を秘めていて、国や地方自治体が注目する存在でもあります。

 しかし、現状のスナックがママを中心としたコミュニケーションスペースである以上は、現状ここまで廃れてしまっている原因を受け止めて改善する必要があります。現状の課題を克服しない限りは、仮にお店をオープンできたとしても、そのお店が繁盛できるどうかはお店を回すママの手腕に掛かってくるわけです。

そんな現代のスナックには、ママ(店主)を助けるコミュニケーションツールが必要です。

 代表格にはカラオケがあります。昭和時代のスナックでも音楽はお客同士を繋ぎ合わせるコミュニケーションツールの役割を担ってきました。そして、平成に生まれたカラオケ文化は、令和スナックのコミュニケーションツールとして定着しました。自ら選んだ歌を歌うという行為は、お客の心を解放させて周りとの一体感を生む助けになっています。

現在、SNSもスナックの運営に無くてはならない存在になりつつあります。

 毎日のつぶやきや、イベント告知、席の空き情報を配信するだけでなく、常連客との細やかな連絡が、お店の外でも強い繋がりとして活きているのです。

 誰でも簡単にスナックをやれるという人がいますが、私はそうは思いません。スナックにも店舗ごとこだわりや特徴があるように、店舗に応じてママにも必要なスキルがあります。

 令和時代に全国にスナック文化が復活する事を願っています。坂根氏のような、若く志のある女性イノベーターがスナック業界で成功する世の中になってほしいです。そのためには、スナック・ママの助けとなる新たな仕組みや技術が必要です。私は当事者の一人としてこのコラムに願望を綴る事で、読者の皆さんによるイノベーションに期待します。

酒井慎平

一般社団法人レストランテック協会

専務理事

20代で外食業界誌の編集長、外食産業記者会の代表幹事を務めた後に29歳で独立。長野県長野市で製造する長期熟成生ハム「掬月 Jamon KIKUZUKI」のブランドオーナー。外食業界に特化した広告代理業を軸に食の価値創造に取り組む。株式会社SATOKA 代表取締役。一般社団法人レストランテック協会 専務理事。NPO法人居酒屋甲子園 アドバイザー理事。一般社団法人これからの時代の飲食店マネジメント協会 プロコンサルタント。

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