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2023.12.21

【竹田クニ】飲食市場の未来予測:団塊JrからZ世代までのデジタル消費

竹田クニのインサイト

外食産業の変遷は世の中の変化とともにあった

1970年代から始まった日本の外食産業は、時代ごとの様々なブームやトレンドを経験し、現代に至っています。

※本コラム第1回で詳しく述べております。

トレンド・ブームの背景には、当時の世界情勢、経済動向、人口動態、消費者マインドが存在しており、現在そしてこれからの市場を考える際には、こうした背景から生ずる変化を読み取ることが重要です。 「20世紀の成功体験は通用しない」と言われますが、過去の外食産業に起きた変化のメカニズムを知ることは、将来市場の予測に大いに役立つのではないか?と考えられます。

「時代」と「世代」

時代は世代を育み、世代によって時代は作られます。 現在の日本市場には、次の各世代によって構成されていると考えられ、図のように大きく3つのグループに分けると違いが分かりやすいです。 各世代には価値観、メンタリティ、行動特徴がみられ、それは育った「環境」や「時代」による影響を受けており、こうした特徴にさらにライフステージの消費行動が掛け合わされます。

各世代の特徴解説

  1. 世代、ポスト団塊世代、バブル世代 → 水色

    社会人として好景気の時代を謳歌した世代です。この時代は、消費によって幸せが得られたとされます。人口増加、経済成長のもと、大企業や有名ブランドといった世の中が認知する“良いもの”が比較的はっきりしており、多くの人そこを目指し、エネルギッシュに働き、消費をしました。 世の中的に認知されているマジョリティに属することで安心感が得られた時代なのかもしれません。

  2. 団塊Jr、ミレニアル世代前期 → (まとめて氷河期世代とも呼ぶ)
    社会人となる頃には景況が急転悪化(氷河期世代と言われる所以)。停滞する経済は格差を生み、将来不安からの自己投資も盛んになった世代。①の先輩達が謳歌しすぎたバブル的消費にアンチテーゼと憧れを両面持ち合わせており、堅実消費とご褒美消費を賢く使い分けます。インターネットによる情報収集は皆が普通に賢くこなし、ブログ、SNSといった自己表現手段は「個」を発信し、“多様性”を認める価値観が育ちました。

  3. ミレニアル世代後期、Z世代
    物心がついた頃には日本の景気は停滞しており、またグローバルな情報が日々あふれる中育った彼らは、“多様性”を重視し、ソーシャルグッドに高い関心を持っています。 デジタルネイティブ世代とも言え、デジタル化に対するリテラシーが高く、あふれる情報から必要な情報を得ることに長け、DXなど合理的な考え方に共感度が高いです。

若い世代になるほど高いソーシャルグッドに対する意識

SDGsは環境問題だけでなく、平等や他者支援など、多くのキーワードを含んでいます。 外食においても、商品だけでなく、マネジメント、PRなど企業活動全般においてSDGsの考え方に則った取り組みが重要となってきています。 若い世代になるほどSDGsへの関心は高く、消費者としてだけでなく従業員としても関心・問題意識は高いと思われ、ますます重要度が増すと言えるでしょう。 SDGsに類似した概念で、私、竹田クニが2016年頃より提唱させていただいている「イミ消費」も、様々なグループインタビュー等の中で、若年層ほどその意識が高いことが確認されています。

  • イミ消費
    商品・サービスの機能・効能だけでなく、付帯的に持つ社会的・文化的価値に共感し選択する消費行動。消費によって意味や意義に対する貢献感・満足感を得ることが特徴です。

これからの消費の主役 団塊Jr、ミレニアル世代、Z世代
~デジタル技術へのリテラシーが高く、合理的~

これからの消費の主役世代は、団塊Jr、ミレニアル世代、Z世代になることは間違いありません。それまでの消費の主役であった団塊世代、ポスト団塊、バブル世代、つまり上記の水色の世代は、ライフステージを考慮すると消費力は減退傾向にあり、特に2012年以降アベノミクスをけん引したとされる団塊世代は高齢化していくことから、消費力は落ちてきます。

これは昭和・平成時代の消費スタイルの終焉を意味します。会社宴会やはしご酒、接待などの集まりでの飲酒行動や、メジャートレンドに合わせることが重要だった感覚は、今では時代遅れです。新しい消費の主役世代である団塊Jr、ミレニアル世代、Z世代は、個の多様性を重視し、ソーシャルグッドな価値観に共感しやすい。彼らはデジタルリテラシーが高く、情報の選別に長けており、デジタル技術を用いたサービスを迅速に取り入れ、合理的なサービスを受け入れる世代です。このような消費の主役世代に向けて、飲食店が提供する価値やオペレーションの形も変化していくと考えられます。

正しい時代認識とマーケティング ~面なのか点なのか?~

これからの消費の主役世代が持つ価値観や行動特性は、商品作り、価格設定、販促、店舗オペレーションなど多くの要素に大きな影響を及ぼすと考えられます。例えば、繁華街の人気居酒屋があったとしましょう。20世紀なら、その成功したフォーマットを他の地域に拡大することができたかもしれません。しかし、時代を正しく理解すれば、その店の客層や立地、商品の特徴を把握し、本当に他地域に拡大できるか、「面」としての可能性があるのか、それともその立地特有の「点」であるのか、という仮説や見立てが変わるでしょう。時代と世代の理解は、正しい時代認識の第一歩となります。

竹田クニ

株式会社ケイノーツ

代表取締役

早稲田大学商学部卒業後、1988年株式会社リクルート入社。HR事業、旅行情報事業の営業部長、じゃらんリサーチセンターで地域活性事業のプロデューサー、経営企画部中長期戦略室などを経て2011年に飲食情報事業のシンクタンクHPGリサーチセンター(現・外食総研)の初代センター長に就任。計29年在籍の後、2016年に独立し(株)ケイノーツ設立。現在は外食マーケティングのスペシャリストとしてマーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに記事執筆、講演活動、フードビジネス関連企業のアドバイザリー・顧問、食のビジネスマッチングなど活動中。

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