FoodDeployのロゴ

ほぼ毎日更新!!飲食店のDXを後押しするWEBマガジン

2024.05.23

【酒井慎平】日本は総田舎化!経済は「価値」から「信用」へ。

酒井慎平の物申す!!

 こんにちは。第21回コラムとなりました。5月といえばGW。皆さんはいかがお過ごしだったでしょうか。

 昨日、民間の有識者でつくる人口戦略会議の調査によって「消滅可能性自治体」が発表されました。「消滅可能性自治体」とは、若年女性人口が2020年から2050年までの30年間で50%以上減少する自治体のことで、調査によると全国1729自治体のうち896を「消滅可能性自治体」に該当し、人口減少が加速し、最終的には消滅する可能性があると警鐘を鳴らしました。

 とても衝撃的な話ではありますが、これからの日本を考えるうえで無視できない問題です。

 私自身、地方に移住し過疎が著しい里山に拠点を置いてから、人口減少・少子高齢化を身近に感じることが多くとても納得する内容でした。このまま人口減少が進むとどうなるのでしょうか。

 私は東京から長野に移住して4年ほどが経ちますが、当初はさまざまな価値観の違いに戸惑いました。簡単に掻い摘んで話すと「価値」より「信用」で経済が回っていることが多いという点です。

 例えば、通販サイトで販売されている「りんご」よりも近所の知人が育てた「りんご」を選び購入する傾向が強かったり、大手ハウスメーカーではなく、信用できる知人から紹介を受けた地元の建設会社に新しいマイホームを建ててもらったという話もよくある話です。

 今はアマゾンや楽天など通販サービスが発達し、いつでもより良い品質の製品を選び購入ができるようになったのにも関わらず、そういった便利さや品質よりも、人の「繋がり」や「信用」でモノを選ぶ傾向が強いように感じています。

 このように具体例を出すと納得いく消費行動でも、普段の生活で生じる些細な経済活動の判断軸がほんの少しずれるだけでも積もり積もって大きな価値観の違いになっていきます。ではなぜ、特に田舎は「価値」より「信用」で選ぶのでしょうか。

 今後、日本は本格的に人口減少・少子高齢化が進み総・田舎化していきます。そうなったときに、私たちはどのような価値観で経済活動を行うのか、また次世代のビジネスパーソンにとって生み出すべき価値とは何なのか。人口減少に伴う「価値」と「信用」について、私なりに考察していきます。

「価値経済」と「信用経済」

 経済を指す言葉に「価値経済」と「信用経済」があります。価値経済は「価値を生み出す経済システム」を、信用経済は「主に信用を手段として取引が行われる経済」を意味します。

 価値経済は、人や社会にとって意味のある価値を生み出し、増やしていく経済システムを指します。一方、信用経済は、貨幣経済よりも発達した経済で、小切手や手形、株式、社債などが広く流通し、信用が経済生活の中で大きな役割を果たしています。

 お金の本質は信用にあり、国の保証を人々が信用することによって成り立っています。例えば、1,000円札は1,000円分の物と交換できる紙であることを日本が保証し、人々は日本のどこでも1,000円分の物と交換できることを信じて利用しています。

 また、銀行が作り出すお金に関しても信用が重要です。銀行に信用があることが前提で、もし銀行が信用を失うようになると、その銀行への預金額が減り、銀行は融資額を減らさざるを得ず、結果的に、経済全体のお金が減っていきます。

お金に本質は「信用」

 お金の本質は「信用の数値化」です。お金は信用を形にしたもので、100円玉や1万円札自体に価値があるわけではありません。100円玉はただのニッケルと銅であり、1万円札のただの紙でしかないからです。

 お金は「信用」をうむという特別な性質があるため、「お金」そのものが取引の対象となることがあります。例えば、お金に困っていたとしても、周り(知人や友人)からの信用があれば食事や寝床を提供してもらえる可能性があります。

 人口減少に伴って、ヒトやモノが生み出す価値経済は縮小する一方で、歴史や文化などといった目減りすることのない「信用経済」は大きな可能性を秘めています。また、社会的価値や「心」が経済的価値を持つようになってきており、SNSなどのプラットフォームを通じて個人の行動が可視化されることで信用が築かれやすくなっています。

 また、既に何年も前から人口減少が叫ばれてきた地方の田舎の人々にとっては、信用経済の重要性は自然と肌で理解し実践してきました。特に田舎でよくみられる「おもてなし」「おすそ分け」「お手伝い」「近隣のお掃除」といった行動も信用の蓄積だと思います。

 ビジネスでも、エシカル消費といわれる、地域の活性化や雇用などを含む、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動や、CSV経営といった事業を通じて社会課題を解決することを重視した考え方が注目されるようになったのも、「価値経済」から「信用経済」へと経済の価値観が大きくシフトしてきているからではないでしょうか。

 「価値」から「信用」へ。このような新しい価値観や経済の変化を理解し、積極的に行動することが、これからのキャリアを築いていく上での鍵になっていく気がしています。

酒井慎平

一般社団法人レストランテック協会

専務理事

20代で外食業界誌の編集長、外食産業記者会の代表幹事を務めた後に29歳で独立。長野県長野市で製造する長期熟成生ハム「掬月 Jamon KIKUZUKI」のブランドオーナー。外食業界に特化した広告代理業を軸に食の価値創造に取り組む。株式会社SATOKA 代表取締役。一般社団法人レストランテック協会 専務理事。NPO法人居酒屋甲子園 アドバイザー理事。一般社団法人これからの時代の飲食店マネジメント協会 プロコンサルタント。

記事をシェアする