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2024.07.09

【竹田クニ】DXを提案する営業活動に必須の視点 ~「商談環境」と「アフターフォロー」~  

竹田クニのインサイト

筆者は外食業界に特化したマーケティング活動を行っているが、それ故、顧問紹介会社などから…

「貴殿のネットワークで拡販を出来ないか?」「新規の商談紹介につき報酬○○○円」といったお誘いを、有難いことに多くいただきます。しかしながらご辞退申し上げているケースが殆どであります。

辞退理由は、プロダクトの機能・性能、競争力といった要素ではなく、顧客のサクセスをサポートする体制や理念がしっかりしているか否かであります。

本編では、テックベンダーに大切な「営業の考え方」についてお話いたします。

百花繚乱のレストランテック。but 一次機能だけでは差別化が難しい?

近年、デジタル技術活用による進化は目覚ましく、外食業界のDXは加速度的に進んでいると言えます。

デジタル活用が遅れていたと言われる外食産業には、まだまだ市場の伸びしろ、提案余地は大きく、経営環境の激化とともにますます「DX」への期待は高い。故に数多くのプレイヤーが「DX」市場に参入し、まさに百花繚乱と言えます。

資料:株式会社トレタが2019年にSNS等に発表したレストランテック関連のカオスマップ

数多くの企業が参入し、競争はレッドオーシャンと言えるでしょう。

この競争下における営業活動では、当然、プロダクトの機能、競合優位性をアピールすることは必要な訳ですが、各社の説明資料を見ていると、「効率化」「労働時間削減」「人手不足対策」…といったありきたりな表現が目立ちます。

率直なところ、「どの会社のプロダクトが自社に合っているのか?」を判断することは非常に難しいというのが、飲食店・外食企業側の本音だろう。

では、そんな中、レストランテックのプレイヤーはどうやって見込み客のリーチを広げ、顧客を増やしていくのだろうか?

そのカギは、一般的な営業プロセス管理の外側にある「商談環境」創りと「アフターフォロー」にあると考えられます。

「商談環境」というプロセスの重要性

一般的に「商談」とは、ニーズ・ウォンツのヒアリング→課題設定→企画提案→受注・成約といったプロセスをいう事が多いのではないでしょうか?

メールや電話でのファーストコンタクト時点では、その相手が「商談」になるかどうかは不明であり、またその会社の情報や課題も聞けていないため、多くの営業組織では“単なるアタックリスト“の状態であると思われます。

ファーストコンタクトと商談の間に存在する「商談環境創り」というプロセス

「商談環境」とは、商談が出来るまでの…認知獲得、相互理解、情報の獲得を行う活動と定義しています。

具体的には、顧客の事業内容、事業戦略の理解、企業の理念ビジョンの理解、現場の課題仮説をもとにした会話…などによって、自分の存在の認知とともに“信頼できそうな相手”として認識されるために行う活動全般を言います。

この「商談環境創り」は…

“足しげく通う”といったアナログな方法でもなく(それ自体は否定しませんが)、また話の本題前に時候の話題や趣味の会話と言ったいわゆる「ラポール」といった会話術的なものとは異なります。

「商談環境創り」の例としては

  • 企業理解や店舗への訪問などで顧客の現状を理解している

  • セミナー、交流会などで知る、「業界共通の大儀」への共感している
    (顧客&従業員満足橋上、業界の社会的地位向上、生産性向上、地域活性化など)

  • 同業他社でのソリューション事例をよく知っていて、提供できる

  • 相手に有益な業界動向や市場の情報を提供できる

こういった企業理解や情報提供によって「信頼に足る相手かどうか?」を相手に認知していただく活動全般を言います。

そしてそこでは、自社の商品サービスのアピールや、今なら○%割引と言った営業情報は不要もしくは害となるケースが多いと考えられます。

外食向け「営業メソッド」でセミナー等開催している益子氏は講演の中で「営業はGive,Give、Give、Give・・・・Take」と言う表現などを通じて、「義理と縁」をつなぐ営業活動の重要性を説いている。

「外食営業の星・益子雄児」はいかにして「知識と愛」を培ってきたのか、その足跡をまとめてみた | Food Deploy | 飲食店のDXを後押しするWEBマガジン

こうした、ある意味ウエットな関係性作りの活動も含めて、「商談環境創り」は営業活動において極めて重要なステップと言えるでしょう。

オンボーディング→活用→成果結実までの「サポート&アフターフォロー」

業務用システムは、当然ながら「受注、成約」がゴールではなく、導入企業が「売上UP」「利益UP」「顧客満足度向上」「従業員満足度向上」「省力化・省人化」という、システム導入を企図した「目的」を達成するまでの伴走とサポートが重要であることは言うまでもありません。

さらに言えば、それが「生産性向上」「企業力向上」といった上位概念の変革・成果に結実するパートナーとして協働が出来たとしたら、それはテック企業としても誇らしい業績になると思われます。

サポートのための体制やシステム、ソリューション事例は顧客にとって重要な情報

デジタルツールは「手段」であります。

プロダクトの細かな機能や使い勝手はもちろん重要でありますが、顧客にとっては、それによってどんな成果や変革を生み出すか・・・「目的」が最重要。

他店舗のソリューション事例(特に類似課題を持つ飲食店)は、自社の課題解決への非常に有効な資料となりますし、“止まってはならない”業務システムとして、サポート体制や、デジタルに不慣れな現場スタッフがスグ問い合わせできるコールセンターの存在は経営者にとって大変心強いものとなります。

例)㈱リクルート レストランボードのサポート体制

例)㈱リクルート ホットペッパーグルメの「飲食店DX事例」サイト
リクルートの飲食DX事例 | ホットペッパーグルメ (hotpepper.jp)

まとめ:デジタルが得意でない「現場」が安心して取り組めるパートナーシップを!

飲食店の現場には、まだまだ「デジタルが不得意」という方も少なくありませんし、経営陣でも「デジタルによって課題解決が出来る」ことが明確にイメージしきれない人もまだまだ存在します。

そんな外食企業、店舗・現場のDXの背中を押すことが、テックベンダーが貢献すべきこと。

「商談環境創り」でDXに取り組む外食企業の数を増やし、サポート&アフターフォローで成功事例を増やすことが“レストランテック業界“の大きな使命だと考えます。

竹田クニ

株式会社ケイノーツ

代表取締役

早稲田大学商学部卒業後、1988年株式会社リクルート入社。HR事業、旅行情報事業の営業部長、じゃらんリサーチセンターで地域活性事業のプロデューサー、経営企画部中長期戦略室などを経て2011年に飲食情報事業のシンクタンクHPGリサーチセンター(現・外食総研)の初代センター長に就任。計29年在籍の後、2016年に独立し(株)ケイノーツ設立。現在は外食マーケティングのスペシャリストとしてマーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに記事執筆、講演活動、フードビジネス関連企業のアドバイザリー・顧問、食のビジネスマッチングなど活動中。

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