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2024.06.05

【竹田クニ】多様なモチベーションとソーシャルスタイルが響き合う組織 ~外食産業進化に必須のHRM革命~ 

竹田クニのインサイト

これからの時代に必要な“多様な人材が協働する組織”

飲食店の人材不足は、労働人口が年々減少するにつれ今後ますます厳しくなることがほぼ確定しています。

「DX」は…テクノロジーが担える業務は極力テクノロジーに任せ、人は人でこそやるべき業務に集中するという考え方で、労働力不足時代において労働需要を減少・圧縮する最も重要なソリューションであります。

一方、労働力の供給は、主婦、シニア、外国人(留学生、特定技能)、スポットワーカー、ワ―キッシュアクト、ほか年収の壁等労働力供給のブレーキとなる各種制限の見直しを含め、供給力を向上させるための官民の取り組みが必須であり、労働市場は多様かつグローバルなものへと変わりつつあります。

今後飲食店が目指す組織のあり方は、20世紀の多店舗型企業に見られた、画一的オペレーションによる効率性と均一性を重視した組織ではなく、多様な働き方・やりがい・モチベーションを持つ人々が一つのチームとして協働する組織であります。

働く「モチベーション」は人それぞれ

「モチベーション」は一般的によく使われますが、直訳すれば「活動の動機、意欲、目的」。モチベーションの元となる「源泉」は「モチベーションリソース」と呼ばれ、下記の4類型があります。

出典:株式会社フロムエージャパン 
お客様満足向上のための取り組み | フロム・エージャパン (fa-japan.jp)

多様な労働力と「多様なモチベーション」

多様な労働力が協働するチームにおいては、多様なモチベーションをそれぞれ尊重し、認め合う風土が必要です。

例えば、下記のようなモチベーションリソース≒源泉の違いがあります。

  • 組織型
    店舗業績・企業業績の向上とそれによって得られるステイタス、組織内での自身の役割・責任・期待、組織内でのキ ャリアアップ、立身出世

  • 仕事型
    顧客満足など仕事そのものの目的・評価、業績向上、従業員満足など任務・役割

  • 職場型
    顧客・上司からの店の評価、仲間との協働の喜び、協働による目標達成

  • 生活型
    家族からの期待、シフト・勤務時間の柔軟性、仕事内容・職場環境の安定感、生活が豊かになる実感

さらに、現役を引退したシニアであれば社会参画の実感であったり、将来独立志向の人であれば、経営ノウハウの習得なども加わってくるでしょう。

これらの多様なモチベーションリソースの人々が互いに共感しあい一つのチームとして機能するためには、20世紀型の組織モデル・マネジメントでは難しいのではないだろうか?

多様な働き方・モチベーションリソースの人々皆が共感する理念・ビジョンがあり、各々が活き活きと活躍でき仕事があり、認め合い、賞賛し合える風土がある…というHRM全体の改革が今、外食企業には求められていると言えます。

相互理解に必要な「ソーシャルスタイル」への理解

“うまくいっている”組織に共通するのは「コミュニケーション」が活性化していること。
ではよく言われる「コミュニケーション力」とは何なのでしょうか?

“コミュニケーション力がある“というのは、単に話が上手とか、誰とでも話せる…という事とは違って、下図のように相手の話を聞いて理解する力や、状況を察する洞察力、言いたいことを言葉する含ことを含めた総合的なものと考えられます。

そして、コミュニケーション力に加えて重要なのが、対人対応スキルとしての「ソーシャルスタイル」の理解です。

「ソーシャルスタイル」は、「感情表現度」と「自己主張度」によって4つに大きく分かれます。

出典:㈱リクルート リクナビNEXTジャーナル
ちびまる子ちゃんは〇〇タイプ? 4タイプのキャラに学ぶ「自分らしさ」の活かし方 | リクナビNEXTジャーナル (rikunabi.com)

<各タイプの解説>・・・筆者解説

ドライビング・・・ “冷静なロジカル判断タイプ“

表れやすい特徴 ―論理性、合理性重視、データ・ファクト重視、結果、成果にこだわる、無駄や遅いのは嫌い、冷静、冷たい、競争心が旺盛

エクスプレッシブ・・・“自己主張強いおおらかタイプ“

表れやすい特徴―表現豊か、話し好き、フランク、率直に表す、周囲に認められたい、負けず嫌い、直感的に行動、熱中、おおらか、チャレンジを好む

アナリティカル・・・“とっつきにくいリスク回避タイプ“

表れやすい特徴―控えめ、とっつきにくい、慎重で綿密に計画、形式や順序が大切、決定に時間をかける、リスクを避けようとする

エミアブル・・・“優しい優柔不断タイプ“

表れやすい特徴―柔和な雰囲気、親しみ易い、協調的、優柔不断、時間に厳しくない、周りの意見聞く、流される

依存心が強い、結論がはっきりしない,、リスクを取りたがらない

例えば・・・お客様、あるいは上司から「結論を先に言って!」と言われた経験がある人は多いでしょう。こういう発言が多いタイプは「Driving」タイプで、論理性や効率性を重視し、無駄のないコミュニケーションを好む傾向があります。

一方で、「いつも穏やかで優しいが、あまり意見を言わないし、他社追随的」といったタイプの人が居たとしたら、その方は恐らく「Amiable」

ソーシャルスタイルは、どれが良いというものではなく人それぞれ。

「Amiable」の人にとっては、例えば、「もっと自分の意見を言え!はっきりしろ!論理的に話せ!」と言われるのはとても居心地の悪いものになります。

まとめ 飲食店のHRM改革=異なるモチベーションリソース✕ソーシャルスタイルが共感しあえる職場づくり

労働市場の多様化とグローバル化は、働き手や働き方の種類を増やすだけではありません。

飲食店の現場において…モチベーションリソースの相互理解と尊重、異なるソーシャルスタイルの人同士が気持ちよく協働できる職場環境、コミュニケーションの場づくりが必要になってきます。

オペレーションの均一性と効率性に寄った「20世紀型」の組織ではなく、多様な人々が活躍する「新しい時代の組織」を創るためには、HRM(Human Resource Management)全体の再設計と構築が必要になってくるのです。

では「新しい時代の組織」にするためには具体的にどんな取り組みが?

業界専門誌には「強いチーム作り」や「教育システム」の記事が、居酒屋甲子園やS-1サーバーグランプリなどでは現場での創意工夫やノウハウ共有、店舗での情報共有の仕組みなど様々な取り組みが発表・共有されています。

「労働力クライシス」は、こうした成功事例を“業界の知見”として共有・活用してきながら、HRM革新を実現させていくことによって乗り越えていく大きな課題だと言えます。

竹田クニ

株式会社ケイノーツ

代表取締役

早稲田大学商学部卒業後、1988年株式会社リクルート入社。HR事業、旅行情報事業の営業部長、じゃらんリサーチセンターで地域活性事業のプロデューサー、経営企画部中長期戦略室などを経て2011年に飲食情報事業のシンクタンクHPGリサーチセンター(現・外食総研)の初代センター長に就任。計29年在籍の後、2016年に独立し(株)ケイノーツ設立。現在は外食マーケティングのスペシャリストとしてマーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに記事執筆、講演活動、フードビジネス関連企業のアドバイザリー・顧問、食のビジネスマッチングなど活動中。

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