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2024.05.02

【飲食店最前線巡り #6】過疎化が進む地方の町のキャッシュレスを考える

飲食店最前線巡りⅡ

先日、地元の北海道に1週間ほど帰省し、過疎化が進む地方の小さな町での暮らしと、70歳を超えた両親にとっての不便さの話などをしてきました。東京23区の総面積の2倍の広さがありながら、人口は約2万人。都心と比較するとものすごい人口密度の低さです。ただそんな町にもコンビニや飲食チェーンがあるのでありがたい。今日は地方におけるキャッシュレスについて考えてみたいと思います。

全国のキャッレスレス比率は約4割

まずは数字を確認してみました。日本全体でのキャッシュレス比率は確実に増えており、2023年で120兆円を超え、決済全体における比率は39.3%です。圧倒的にクレジットカードでの買い物が多いですが、クレジットはずいぶん前からあるものなのに、いまだに伸びているのも驚きでした。オンライン決済や店頭でのタッチ決済などが浸透し、少額での利用も増えているからかと考えます。

出典:経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240329006/20240329006.html

飲食店においてもキャッシュレス利用が増える要因がいくつか思い当たります。省人化と合わせて、事前注文やモバイルオーダー、券売機などで注文時にオンラインで決済できる方法が増えました。例えばマクナルドなら、レジに並ばずに席に座り、アプリから席番号と欲しい商品を入力した後に好きな決済手段でスマホ上で決済すれば、やがて自身が座っている席に注文したメニューが届きます。

金額が小さい外食チェーンでは、10年前くらいまではほとんどのお店でクレジットカードも使えなかった記憶があります。当時外食業界2位の売上規模だった、私の古巣のすかいらーくクレジットカードと電子マネー決済が始まったのは2012年でした。

2011年までガストやバーミヤンの店舗で勤めていましたが、確かにお会計の時に「クレジットカードは使えますか?」と聞かれることは滅多にありませんでした。当時はクレジットカードは家電など高額な買い物をするときの分割支払い手段として考えていた人が多かったかもしれません。

出典:https://www.skylark.co.jp/pay/

地域によって最大約17ptの差がある利用率

コロナ環境による接触を控えることも決済手段に影響を与えたかと思います。よくお話を聞くのは、とあるQR決済業者さんの全国津々浦々への営業活動により浸透して、個人店でもQRコードが使えるお店が広がったようですね。

ただ、地域によって利用率には差があります。想像の通り地方よりも都会での利用率が高いです。上位5つのうち、4つが関東圏でした。

同じ地域でも都道府県によって比率が大きく違うのも興味深いです。自治体の取り組みやお金に対する県民性なども関係しているのでしょうか。

<出典>キャッシュレス決済の先進県は? 47都道府県ランキング発表
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00089/00007/#:~:text=%E5%85%A8%E5%9B%BD%E5%B9%B3%E5%9D%87%E3%81%AE%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AC%E3%82%B9,%E3%81%AE%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82&text=%E5%88%A5%E3%81%AE%E8%B3%AA%E5%95%8F%E3%81%A7%E3%80%81%E5%88%A9%E7%94%A8,%E6%B1%BA%E6%B8%88%E6%89%8B%E6%AE%B5%E3%82%92%E5%B0%8B%E3%81%AD%E3%81%9F%E3%80%82

ちなみに私の地元の北海道は全国平均より2%ほど下回る地域。両親はクレジットカードは使いますが、日常使いではなく家電家具など数万円程度の買い物の時だけだそう。QR決済なども使用しておらず、ただ最近はコンビニはセブンイレブンは避けているとのこと。理由を聞くと、買い物の後にお客さん側で支払い手段を選択したり、レジの操作が必要だからとのこと。パッと操作がわからず後ろに人が並んでいる時のプレッシャーが辛いらしい。

キャッシュレス導入の裏側では、手段が増えることで顧客側に負担が増えることもあるのも事実ですよね。モバイルオーダーやテーブル端末でのデジタル化同様に、デジタルリテラシーの差にどう対応するかも企業側としては悩ましいポイントです。

3つの飲食店で利用具合をチェック

さて、そんな地元の小さな町に昨年末に始めて牛丼チェーンの一つが出店してくれました。当時は地元ではかなりニュース、話題になったようです。東京23区の2倍の大きさに2万人しかいない町。5キロ商圏に1万人はいなさそうな町に出店することに気概を感じつつ、当然都心と比較すると建物、土地の賃料がかなり安く、客数売上が低くても利益が確保できるケースも少なくありません。私が前職で勤めていた青森の地方には、駐車場込で家賃月額6万円というお店がありました。東京の店舗と比較して客数は半分でも利益は東京よりも多く残るのです。

そのすき家に早速行ってみました。今回見たいのは、お客さんのキャッシュレス比率です。全国にあるチェーンで、地方にあるお店での支払い方はどうなのでしょうか。

◎全国チェーン「すき家」

お店に来たのは平日の12時過ぎ。ランチタイム時です。ただお客さんの数はまばらで40分ほど滞在しましたがその間に来たのは私を含めて5組でした。最初からいたお客さんを含めて4組のお会計の様子を見ることができました。

結果としては、4組全員が「現金」での支払いでした。すき家のレジは半自動のオーペレーションで、スタッフに伝票を渡しでクーポンなどの対応をし、決済手段を聞かれたあとに、現金なら自分で自動釣銭機にお金を投入して終了という珍しいパターンです。

N数が一桁ですが比率的には多くはないのは確かのようです。

◎ローカルチェーン「山岡家」

同じ町にあるローカルチェーンの山岡家も見てきました。北海道・東北に店舗が多く、東京にも1店舗だけあるロードサイド系ラーメン店です。24時間営業だったり、主要幹線道路沿いにあることから、トラックの運転手にも人気が高いお店です。そういう意味では、地元の人だけでなく地方の中でも大き目の街の利用者も少なくなさそうです。

利用したのは同じく平日のランチ時。20席くらいのうち、8割くらいがうまっていました。職場の同僚の思われる2人~3人連れの姿が多めです。食券方式で、注文時にそのまま自分で決済まで行います。

画面タッチでのオーダー、トッピングなどの選択、支払手段の選択、支払い…と慣れていないと手間がかかる引用。先ほどの母の例のように、注文ができなくて帰ってしまうお客さまもいるだろうなと予測します。決済手段によって対応が違うのも難易度を上げていますね。

山岡家でも5組中4組が現金、1組がQR決済でした。比率としてはやはりキャッシュレスが少ないです。

◎個人経営「焼肉店」

最後は個人経営のお店です。客単価4,000円ほどで広さは個室中心に60人くらいの席数がありそうです。注文はタブレットが導入されており、特に肉やアルコールの追加注文が多い業態なのでタブレットとでの注文は相性がよいですね。

この日は私と両親、私の妹とその息子(9歳男児)と行ったのですが、両親が欲しいものを言って、9歳の甥っ子がタブレットで入力するという流れが自然にできました。まさにデジタルネイティブ世代で、これは地方でも変わらずに同じ傾向です。わからない漢字がある以外はスムーズに個数を入れたり、送信したりを行っていて驚きました。

一方でお会計は現金のみ。ある程度客単価が高く、家族でくると1万円を軽くこえる価格帯ですが導入はされておらず。てっきり使えるだろうと思い込んでいたので慌てて現金を数えました。

キャッシュレスが地方で浸透しない理由は?

地方にある小さな町の支払い手段と利用状況を見てきました。なにより利用率を調べるにも数が全然足りていませんが、傾向としては「少ない」のは間違いなさそうです。
同じ決済を行うのになぜ都会と地方は差があるのでしょうか。どちらにも10年以上住んでいた経験を活かして推察してみました。

<地方のキャッシュレス決済比率が低い理由>
・車移動が中心で荷物を減らす必要がなく、財布も大容量で現金も持ち運びやすい
・電車に乗らないので交通系ICカードを持っておらず、電子マネーの必要性が少ない
・イオンなど独自決済を持っている流通、スーパーが地元にない。
・デジタルリテラシーが高くない高齢者が多い
・個人店が多いため現金以外が使えないお店の比率が高い

これらの原因を考えると、必要性が少ないこともよくわかり、この先一気にキャッシュレスが進まない印象を感じます。個人的には高齢者の方々も臆さずに使える「簡単さ」が特に地方には必要と考えます。

吉田啓介

カラビナハート株式会社

執行役員/シニアコンサルタント

カラビナハート株式会社のマーケティングコンサルタント。外食、メーカー、決済事業者など様々な業種のSNSなどを中心としたコミュニケーションを支援しています。2020年4月まではすかいらーくHDに在籍。ガスト、バーミヤンで店長を務めたのちにマーケティング本部へ異動し、広告宣伝、CRMや決済、ポイントプログラム、テーブルオーダーなど店舗内UIUXなどを担当。

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