FoodDeployのロゴ

ほぼ毎日更新!!飲食店のDXを後押しするWEBマガジン

2026.09.03

外食10%食料品1%の正しい理解~必要な消費者への啓発~

竹田クニのインサイト

消費税率が外食10%据え置き、食料品は1%の減税措置+給付に着地する見通しとなりました。是非はさておき、消費者がこれをどう認識するかによって影響が大きく異なると考えられます。
「外食は仕入れが安くなるんじゃね?」とか「飲食店はテイクアウトとかに客が流れるから反対してるんじゃ?」といった浅薄な消費者理解が余計な逆風を生みかねないと懸念しています。

第一の論点 消費者に正しい理解を!

食料品が1%と減税になれば、「飲食店も仕入れが安くなるんじゃね?」
そう考えてしまう消費者は少なからずいると思われます。
外食10%/食料品1%のまず第一の問題は、飲食店にとって「納税額」が増えるということ。このことを広く一般消費者に理解してもらうためには、積極的な啓発的報道が必要だと考えています。

報道に課題も

報道番組や情報番組でよく見かける「街頭インタビュー」
今回の消費減税で言えば、生活のひっ迫感や、食品の値上がり実感などと共に、ともすると「そりゃぁ安くなってくれたら嬉しい!」といった無邪気なコメントを“つまむ”様な編集がされることもありますよね。(財源がはっきりしないから反対!とか、食料品だけでは意味がないのでは?といった深い意見をフラットに集めているインタビューも勿論数多くありますが)

政策が施行されるにあたっては、行政、外食業界、業界団体、報道各社が、正しく消費者を導いていく啓発的報道が望まれます。

第二の論点 決済手数料に関する支援策

上記、第一の論点で「納税額が増える」のは控除される預かり消費税が少なくなるから・・・という構造をご理解いただけたかと思う。
第二の論点は「支払手数料」の問題だ。
下記は筆者が作成した「10年前と比較した飲食店の各種コストの値上がり状況」
各項目とも大きく上昇していることは言わずもがなであるが、最も大きく上昇しているのは「支払手数料」

なぜかというと、10年前に比べると世の中的な「キャッシュレス決済比率」が上昇しているからだ。
10年前の飲食店の平均的キャッシュレス決済比率は20%前後、それが現在では60%前後に跳ね上がっているのです。(勿論、業態によって差はあり、あくまで平均値)

損税の存在

キャッシュレス決済額には消費税も当然含まれているのだが、この支払手数料は「控除対象とはならない」
したがってここに飲食店の持ち出し=控除できないから負担している…が発生しており、この問題において消費税制度は合理性に問題があるのである。

他業界に比べて高い手数料

さらに外食の決済手数料は、他業界に比べて高い料率が設定されているものが多く、おしなべて平均値は3.1%と言われる。(大手企業に対するディスカウント、決済会社による利用率の違いも存在する)と言うようにこの問題は複雑なのだが、この手数料を「引き下げるべき」という提言を、外食の業界団体である「食団連」が強く行っている。

【政策提言】日本維新の会合同ヒアリングにて提言:外食への消費税ゼロ税率適用と決済手数料1%台への引き下げを強く要望 |お知らせ|食団連(日本飲食団体連合会)

第3の論点 レジの改修コストと時間

一部報道がされているが、消費税率が変わることによって発生する、レジの改修に必要なコストと時間が懸案だ。
一部のレジ業者の試算によると、数多ある飲食店のレジ回収には半年以上の期間を要するとしており、またそのコストについてもだれが負担するかは明確になっていない。
既存のIT化補助金などを拡大して対応なども考えられるが、現状では明確になっておらず、また、完了時の報告をもって入金・・・ともなればそこでも飲食店のキャッシュフローはマイナスとなる。

業界進化の契機に

コスト高、人件費高騰/人材難、そして今般の消費減税問題・・・
外食産業にとっては踏んだり蹴ったりの逆風とすら思える。
しかしながら、この苦境が「過去から、構造的に抱えているがゆえに思考停止していた」問題課題にフォーカスし、改めてあるべき姿と消費者の正しい理解を得る積極的な活動を今こそ行うべき・・・と考えます。

竹田クニ

株式会社ケイノーツ

代表取締役

早稲田大学商学部卒業後、1988年株式会社リクルート入社。HR事業、旅行情報事業の営業部長、じゃらんリサーチセンターで地域活性事業のプロデューサー、経営企画部中長期戦略室などを経て2011年に飲食情報事業のシンクタンクHPGリサーチセンター(現・外食総研)の初代センター長に就任。計29年在籍の後、2016年に独立し(株)ケイノーツ設立。現在は外食マーケティングのスペシャリストとしてマーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに記事執筆、講演活動、フードビジネス関連企業のアドバイザリー・顧問、食のビジネスマッチングなど活動中。

記事をシェアする