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2026.06.23

ウェルビーイング時代の「顧客体験価値」~ホスピタリティ産業としてのパラダイムチェンジ~ 

竹田クニのインサイト

ホスピタリティ産業として、デジタルツールが実現する世界観を変えていくことが求められていると考えられます。
飲食店に求められる「価値」は、「何を食べる・飲むか?」から「どう過ごすか?」さらには「何が満たされるか?」へ。

スマホオーダーで顧客接点力が下がるのは「もともと弱かった店」

接客コンサルタントで著名な某氏は、「スマホ/タブレットオーダーでお客様とのコミュニケーションが減ってしまう、顧客体験価値が棄損してしまうのは、“もともと接客力が弱かった店”」と喝破します。
オーダーテイクというオーダーを伝える行為自体は、人が聴くorスマホ/タブレットで行う…の違いはあれど、それ以外の会話自体が“弱かった”“行われていなかった”店は、コミュニケーション機会自体がセロに近くなり、デジタル導入によって機会自体が棄損する。
もともとオーダーテイク以外で顧客との対話、客席へのケア意識が高い店は、オーダーテイクに要する時間が減る分、コミュニケーション機会を逆に作れるはずだ・・・というのが某氏の見解だ。

顧客体験価値の「パラダイムチェンジ」

外食のトレンドは、「時代」と「世代」が織りなす消費者の価値観変化という背景・潮流から生まれてきました。
モノ消費→コト消費→イミ消費という消費価値観変遷ののち、現在・・・戦禍、環境問題、経済の混迷という状況の中、消費者の意識は「ウェルビーイング」という内面的なウェルネスを求めるように変化してきていると考えられます。

何を食べるか→どう過ごすか→何が満たされるか

ウェルビーイング時代における「顧客体験価値」のキーワードは外食によって「何が満たされるか?」
外食に求める価値は、基礎的消費~選択的消費において多様であり、「何を食べる・飲むか?」の背景にある、「何が満たされるのか?」という情緒的価値を理解することが重要であります。

ウェルビーイングが求める顧客体験価値は、「身体を整える」「心を満たす」「コミュニティとつながる」に大別され、消費者が外食に求める内面的なウェルネスを理解することが求められます。

ウェルビーイング時代に求められる顧客体験価値キーワード

上図の分類に従い、現場で検討すべき具体的なキーワードを考えてみます。

  • 素材の詳細、栄養素、効能

    「身体を整える」では、その料理・飲料の、素材詳細、栄養素、効能の説明力が求めらる。

    産地や生産者のこだわり、栄養素や効能に関する具体的なエビデンスは、それを選ぶ理由を明確にし、また選ぶ理由の明確化は「心を満たす」ことにも繋がります。

  • 小ポーション

    量を食べ過ぎない、少しだけ試してみたい、多種のメニューで満足できる…こうしたニーズ・ウォンツには小皿・小盛り・ハーフサイズの展開が有効。健康・節約・ロス削減という意識にも応えることが出来る。

  • ノンアル・微アル

    現在の日本は、成人人口の約55%が酒を飲まない・飲めない、殆ど飲まない。
    アルコール・ダイバーシティは、単に飲むか飲まないかの2軸ではなく、様々なTPOによる適切な飲酒行動という社会の成熟を求めていると考えられます。

  • ホーム感、常連化

    ウェルビーイング時代には「個」の居場所、「孤」のケアが求められ、接客のクオリティ、スタッフの人柄が価値となる。

    2度目、3度目来店の検知や、来店履歴を接客に活かすことは、個・孤の体験価値に直結しスタッフ教育と合わせてお客様のホーム感・居心地ひいてはリピーター・常連化する大切な要素であります。

“伝える“デジタルツールのあり方

消費者が飲食店に求める体験価値の変化する中、飲食店はデジタルツールの活用を含めて、「総合的に」顧客体験価値を高めていくことが求められます。
その中でデジタルツールは省力化・省人化という一次機能だけではなく、それが総合的な体験価値向上にどう組み合わされ機能するのか?を担う。
従って、ベンダーからの提案においては、顧客体験価値の総合的なデザインに考えが届いていることが重要で、そういう視座・視野・視界を持つことが、ビジネスパートナーとして欠かせないチカラになるはずです。

竹田クニ

株式会社ケイノーツ

代表取締役

早稲田大学商学部卒業後、1988年株式会社リクルート入社。HR事業、旅行情報事業の営業部長、じゃらんリサーチセンターで地域活性事業のプロデューサー、経営企画部中長期戦略室などを経て2011年に飲食情報事業のシンクタンクHPGリサーチセンター(現・外食総研)の初代センター長に就任。計29年在籍の後、2016年に独立し(株)ケイノーツ設立。現在は外食マーケティングのスペシャリストとしてマーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに記事執筆、講演活動、フードビジネス関連企業のアドバイザリー・顧問、食のビジネスマッチングなど活動中。

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