FoodDeployのロゴ

ほぼ毎日更新!!飲食店のDXを後押しするWEBマガジン

2026.09.25

4を5にするか、3を4にするか…。店が目指すべき「改革の在りか」はどこか?

竹田クニのインサイト

ちょっと面白い本を発見しました。
結構アカデミックだったので詳細はここでは書きませんが

印象に残ったのが…
4を5にするよりも、3を4にする方が成果が大きい

確かに評点4、5をつけてくれて再来店してくれるお客様は店の「誇り」でありますが、店の評価は多様な「個」の主観であるし、また、“その日のコンディション”(忙しさや習熟度の高いスタッフの有無など)によって、4、5点の一方で、2、3点の顧客は当たり前に存在しているはず。
今回のコラムでは、目指すべきイノベーションの在りかについて考えてみます。

改善の「寄与度」と言う観点

飲食店の評点や顧客アンケートの点数とリピート率の関係性を見た際に、4、5点の顧客は当然リピート率は高い。
しかしながらほとんどのお客様が4、5点という店は多くないだろう。
そこで論点となるのが4点のお客様を頑張って5点にするよりも、2→3、3→4、にするために頑張ったほうが期待できる成果は大きいのではないか?という考え方だ。

ボリュームゾーンは何処か?

店にとって、評価が高く再来店してくれるお客様は有難いし、店の誇りでもある。
しかしながら、少し引いて考えた際に、お客様のボリュームゾーン、マジョリティは何処に居るだろうか?
4、5点だろうか?2、3点だろうか?
冷静に謙虚に検証した結果、2点3点のお客様がもしマジョリティだとしたら、そこに大きな「伸びしろ」があるかもしれません。

【常連は放っておいてOK】理論と同じ

一部の飲食店で言われている事です。
常連客は放っておいてもまた来てくれるし、店の事情とかも理解してくれている。(そもそも評点も高いはず)
それよりも新規客、2回目客に手厚く接遇した方が次の来店に繋がる
この考え方ともつながります。
(株)トレタが提唱している「常連化曲線」でも、同様のことが言えます。
2、3回目来店客は顔で判別がつかない…だからテクノロジーで分かるようにして、「先日いらしていただきましたよね?」といった接客に繋げるというもの。
2、3回目のお客様の満足度を上げることで再来店・常連化の確率を高めていくことが、集客の安定に効果的だという考え方である。

満足と不満足・・・実は項目が異なる

人事労務の世界では有名な理論ですが、満足と不満足の要因は異なります。

顧客満足度でこれを調査しているのはあまり見当たらないのですが、これと同じことが顧客満足度にも言えるのではないかと考えられます。

と、全く要因が異なることが考えられます。
満足要因と不満足要因がどのような構造になっているのかは店によって異なり、どう仮説を立てるかが大事ですね。

ディスサテ(ディスサティスファクション)という論点

「満足」に至らない一方、「不満」までいかない・・・“惜しい”ゾーンで、多くの店ではこのボリュームが大きいと考えられます。
前述の顧客満足度2、3がここに相当し、アベレージの店としてはここの改善アプローチが有効なのかもしれません。

再来店しないのは「忘れているから」? 

下記は業務支援サービスを行っている株式会社YsLinkが行った調査。

飲食店リピートされない理由【アンケート調査結果】- 株式会社YsLink (ys-link.co.jp)

つまり多くの客が、ことさら不満足ではなく、まぁ良かったけど忘れてしまっている・・・
これ、筆者自身もそうですし、皆さまもそういう経験はあるかと思います。

接客業務に活かせるデジタルソリューションの進化と課題

今年に入ってから、AIを活用した店舗の営業状況の分析機能、行動・改善を提案する機能が数々発表されました。テーブルごとの滞在時間、ドリンク杯数やメニュー選択を可視化し、改善ポイントを示唆、あるいは来店中の“今何を提案すべきか”を示してくれる。

ここには進化を感じます。

改善すべきボリュームゾーン・マジョリティはどこか?

デジタルは、杯数、皿数、おススメニューの提案可能性…といった「事実」をベースとした提案をくれる。
これは勿論、顧客満足に有効であることは間違いない。
しかしながら、その一方で、もしお客様に「不満」や「ちょっと足りない」が起きているのだとすれば、それは・・・

といった事象から起きることが予想されます。
こうした事象に起因する「不満」「ちょっと不愉快」・・・クレームまでに至らない事象はデジタルでは想定できないのです。

多くの店では、上記の「ディスサティスファクション」周辺がボリュームゾーン、マジョリティとなるでしょう。
そうすると、ごく普通の店にとっては、細やかな分析機能を駆使した高度な「伸びしろ」よりも、まず、基本的QSCにあたる項目の改善提案が有効であるのかもしれません。
「美味しかったんだけど・・・もう少し量が欲しい…」
「まぁまぁ良かったよ・・・もうちょっと落ち着いて楽しめたら…」
・・・こうした、“惜しい”“もうちょっと”、つまり2→3、3→4の取り組みがまずは重要、という店も多いのではないかと思っております。

デジタルは人のチカラを「補完・拡張」し、これまでは人では実現できなかった高度な分析や解決策提示を実現します。
これは大いなる進化である一方で、人でなければ出来ない領域・・・「お客様の変化に気づく」、「声にならない“もっと〇〇”を想像する」、「お客様の感想を直接聞く」・・・こうしたチカラを同時に磨いていくことがホスピタリティ産業の進化には必須なはず。
「デジタル」✕「ヒト」、この両輪の進化が外食産業の進化には重要です。

竹田クニ

株式会社ケイノーツ

代表取締役

早稲田大学商学部卒業後、1988年株式会社リクルート入社。HR事業、旅行情報事業の営業部長、じゃらんリサーチセンターで地域活性事業のプロデューサー、経営企画部中長期戦略室などを経て2011年に飲食情報事業のシンクタンクHPGリサーチセンター(現・外食総研)の初代センター長に就任。計29年在籍の後、2016年に独立し(株)ケイノーツ設立。現在は外食マーケティングのスペシャリストとしてマーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに記事執筆、講演活動、フードビジネス関連企業のアドバイザリー・顧問、食のビジネスマッチングなど活動中。

記事をシェアする