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2024.03.04

顧客の反応を考慮した価格戦略: Wendy'sダイナミックプライシング計画の撤回

海外飲食DXニュース

店によって、ダイナミックプライシングの導入の難易度が大きく違うかもしれません。

2024年2月27日、アメリカのWendy’s(ウェンディーズ)が、計画していたダイナミックプライシングのテスト導入をしないという発表が注目を集めました。

Wendy’sは、アメリカのハンバーガーチェーンで業界3位の大手企業であり、2023年第4四半期決算報告では、ダイナミックプライシングのテスト導入について触れていました。

しかし、この内容がSNS上で批判を受けて、同社はピークタイムに値段を高くするようなことはしないと発表しています。

チップが普及しているアメリカであっても、飲食店が需要や時間帯で値段を上げることに対しては、否定的に捉える傾向があるようです。

しかし、チェーン店ではなく個人経営店だった場合、結果が異なったのではないでしょうか。

決算発表ではダイナミックプライシングのテスト導入を予定

ダイナミックプライシングのテスト導入

今回、ダイナミックプライシングのテスト導入を撤回することになった背景には、Wendy’sのCEOであるKirk Tanner(カーク・タナー)氏の電話会議での発言が原因とされています。

2月15日に公開されたWendy’s の2023年第4四半期決算報告の一部を抜粋すると以下のとおりです。

Beginning as early as 2025, we will begin testing more enhanced features like dynamic pricing and day-part offerings along with AI-enabled menu changes and suggestive selling.(早ければ2025年から、AIを活用したメニュー変更や提案販売に加え、動的な価格設定や時間帯ごとの提供など、強化された機能のテストを開始します。)

抜粋引用:Wendy's (WEN) Q4 2023 Earnings Call Transcript | The Motley Fool

この計画の一環として、アメリカにあるWendy’sの全ての店舗にデジタルメニューボードを導入し、2000万ドルを投資すると説明していました。

導入されるデジタルメニューボードは、メニュー内容をリアルタイムで更新でき、料理やセット内容などの表示を柔軟に変更可能です。

同時に、価格の変更も容易にできます。

Wendy’sは、これらのデジタルメニューボードを使って、ダイナミックプライシングのテストを行う計画だったと考えられています。

2月27日に値段変更はしないと発表

Wendy’sは値段変更はしないと発表

前述した内容が広まりWendy’sがピークタイムに値段を高くすると解釈した消費者の反発を受けて、同社は価格変更をする計画はないとホームページで以下のように述べています。

We have no plans to do that and would not raise prices when our customers are visiting us most.(私たちにはそのような計画はなく、顧客が最も多く訪れるときに料金を値上げするつもりはありません。)

抜粋引用:Wendy's® | Blog | Wendy’s Digital News Update

また、一部のメディアによって、需要が高いときに価格を上げる計画だと意図が誤解されていると指摘しています。

とは言うものの、来客が少ない時間帯には、メニューを変更したり、顧客に割引や特典を提供したりする機能をテストする可能性はあると説明もしています。

そのため、2025年からWendy’sは来客数の少ない時間帯にメニュー構成を変えるといった目立たない方法でダイナミックプライシングをテストしているかもしれません。

ダイナミックプライシングには上乗せされた分のメリットが必要

上乗せされた分のメリット

今回のWendy'sのケースを例に取ると、今の飲食業界では繁忙期に価格が上がると、顧客が抵抗感を持つでしょう。

しかし、料金を上乗せした分だけのメリットがあれば、顧客の印象は違うものになるのではないでしょうか。

2月に株式会社TableCheckが発表した有料の優先案内サービス「TableCheck FastPass」がその一例といえるかもしれません。

この有料の優先案内サービスによって、行列ができる人気店の食事を並ばずに楽しむことができます。

この発表の中ではTableCheck FastPassを先行導入した飲食店では、好評だったと伝えています。

つまり、飲食業界でダイナミックプライシングを普及させる際には、上乗せ料金を支払うメリットが必要といえるでしょう。

もし料金が割り増しになっても相応のメリットがあれば、一定の顧客は受け入れるはずです。

店の在り方でダイナミックプライシング導入への壁が異なる

ダイナミックプライシング導入への壁が異なる

2月27日、Wendy’sは決算発表でダイナミックプライシングのテスト導入を予定していましたが、消費者の反発により時間帯で値段を変える予定はないと発表しました。

しかし、アメリカの飲食業界では、ダイナミックプライシングの導入を模索する動きが始まっています。

ItsaCheckmate(イツァ・チェックメイト)など、飲食店向けにプラットフォームを提供する企業では、収益性の強化のためダイナミックプライシング機能を追加済みです。

飲食業界では違和感がありますが、需要に応じて値段が変わるのは、他の業界では普及している料金体系といえるでしょう。

ただしWendy’sのように手ごろな値段で、どこでも同じ料理を提供する飲食店は、ダイナミックプライシングの導入の壁が高いかもしれません。

逆に、人気の高い個人経営店のほうが、ダイナミックプライシングの導入と相応のメリットの提供により、すんなりと普及する可能性があります。

参考サイト

Wendy's to Test Dynamic Pricing as Part of Its Investment in Digital Menu Boards |

Wendy's planning 'surge prices' based on fluctuating demand

Wendy’s backtracks on dynamic pricing | Restaurant Dive

Wendy’s Insists It Has No Plans to Test Surge Pricing

前田淳一郎

グラフィック制作カタパルト

代表

1983年岐阜県生まれ。プログラマー、整備士、物流と転職し、日本橋で寿司職人の世界に入り、立ち食い寿司屋の店長になる。原価の高いをいわれる寿司で、原価調整と材料管理を徹底し、原価を平均25~30%に抑える。その後カナダで移民に挑戦し、現地の海上コンテナのフォワーダー企業に勤める。帰国後に外資系に勤務。
2020年より、Webライターをしながら世界の新しい「食の常識」を発信中。

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