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2024.07.26

外国人観光客はDXでガッチリ儲ける! 簡単な活用法をプロが伝授

イベントレポート

2024年7月2、3日に開催された「外食ソリューションEXPO大阪2024(居酒屋JAPAN・焼肉ビジネスフェア)」。その初日に行われたセミナー「大阪万博向け攻略法! 外国人観光客を引き寄せる【かんたん】DX戦略術!」をレポート形式で振り返ります。

登壇者

株式会社TableCheck
代表取締役社長CEO 谷口 優

2011年にレストラン向け予約顧客管理システムTableCheckを設立し、CEO就任。国内導入店舗数は1万を突破し、世界35カ国地域に拡大。"最高のレストラン体験の実現"をモットーに、使いやすさを追求している。
https://www.tablecheck.com/

株式会社リカバリー
取締役COO 植松芳宏

世界135万店舗で利用されるローカル検索マーケティングツール「Uberall」と独占販売契約を結ぶリカバリー社のCOO。SNSなどを活用した認知から推奨までの顧客体験マネジメント事業を統括している。
https://recovery-run.jp/

一社)日本飲食団体連合会
専務理事 高橋英樹

15歳から大阪の飲食店で修行を始め、24歳の時に(有)夢笛コーポレーション設立のため、先代社長と共に福山に。「初任給は会社の屋上で焼肉を食わされて、終わった」など数々の伝説的事件を経て、10年後の34歳で会社を引継ぎ「なごみ」出店、「むてき」改装オープン等を社内で行う。現在は「日本飲食団体連合会」「レストランテック協会」等、様々な団体に参画し、活動範囲を全国に広げる。

Googleマップのコメントには必ず返信を

コーディネーターは、一般社団法人レストランテック協会顧問の高橋英樹氏が担当。まずはGoogleの使い方について。植松氏は「たとえば私たちが海外旅行に行った際も、やっぱりGoogleマップ使いますよね?」と前置きしたうえで次のように語りました。

「サービスがどんどん進化していて、近年では近所の店をレコメンドする『ネイバーフッドバイブ』が実装されています。また、あと半年ぐらいで日本でも始まりそうなコンテンツが、AIが質問に答える形で「雨の日に屋内で数時間過ごせる場所はここ」などを紹介してくれる新サービス。便利になれば使う人もますます増えますから、やっぱりGoogleマップにお店の情報をのせておくことは大切です」(植松氏)

谷口氏はTableCheckに触れながら、Googleとの事例を解説。

「やはりグローバルでも、情報検索といえばGoogle。TableCheckでも多言語対応したネット予約を提供し、GoogleやInstagramなどのSNSとも連携をしているので、やはりGoogleマップの情報が充実しているお店のほうが送客率は高いと思います」(谷口氏)

続く話題はSNSについて。谷口氏は「Googleマップをはじめ口コミにコメントするお店としないお店がありますけど、これは絶対にコメントを返すべき。手間にはなりますが、大きな差が付きます」と熱弁します。

「『ご満足いただけず、すみません』とか定型文でもOK。返信することがお店の丁寧な姿勢としてあらわれるんです。そうやって口コミからカバーすることで、国内外への全体的な評価が上がっていきますから。あと『インバウンドはリピートしないじゃん』というのはそうではなく、彼らが自国の知人に経験を共有することで、そこから集客につながるんです」(谷口氏)

植松氏は、訪日外国人に口コミを書いてもらうことがコツのひとつだと解説。やはり日本の食は満足度が高く、ポジティブなクチコミを書く率も外国人のほうが圧倒的に多いと言います。

「旅の体験で高揚、ましてやグルメとおもてなしで知られる日本の食ですから、トータルの評価は高いんです。そしてGoogleマップはそのお店を評価できますので、是非活用するといいでしょう。なおGoogleのロゴは流用フリーなので、QRコードと一緒に箸袋の裏などに印刷しておくなどが効果的ですね」(植松氏)

言葉の壁を超える動画はインバウンドに効果的

次のテーマは予約。専門分野である谷口氏から話しました。

「究極、お客様さえ来店いただければ、あとのコミュニケーションは料理写真と『This』って指さしでなんとかなります。ですから、来店確約いただくための予約のしやすさがより大切。そこでポイントとなるのが多言語対応ですね」(谷口氏)

TableCheckでは、訪日外国人の外食トラブルのひとつに挙げられる無断キャンセルについてもフォローできるのがベネフィットとか。

「ネット予約時にクレジットカード情報の入力を必須にできますから、自動的にキャンセル料を徴収できるんです。なお、グローバルではカード入力必須が当たり前になっている国もありますから、外国人のお客様側にも抵抗感はないといえるでしょう」(谷口氏)

そのうえで、今後力を入れるべきコンテンツは動画であると植松氏。動画は料理のシズル感やクオリティ、スタッフの笑顔などを動きとともに紹介でき、シンプルでわかりやすいことがメリット。言葉の壁を超える力もあり、インバウンドにも効果的だと言います。

「料理でも、映える麻婆豆腐よりも一生懸命に鍋を振ってる姿のほうが外国人には反応がよかったりして、この辺は日本人の感性と違ったりするんですよね。感情や本能に訴えかけるエモさがいいのかもしれません。また、最近ではGoogleマップがテストで動画をアップしており、やがてお店紹介も動画がメインになると思います。先手でぜひチャレンジいただけたら」(植松氏)

Googleの店舗情報を英語対応できるように設定を

インバウンドにおける飲食業界の課題がたくさんあるなかで、実際にお店は何から手をつければいいのでしょうか。植松氏は最低限の対策として、Googleマップの言語設定の英語変更対応を挙げました。

「たとえば英語で『ramen』『shibuya』でGoogle検索するじゃないですか。すると、店名は出ても日本語表記なので、外国人が読めないというケースは結構多いんです。そこでやるべきなのが修正の提案。『Suggest an edit』という項目からできます。これだけでも大きく変わりますよ」

谷口氏は「コロナ前より訪日客の来店は日常的になっているにもかかわらず、約7割の飲食店がインバウンド対策未実施です」と言及。これはライバルが少ないということであり、対策するなら早めがよく、「手前味噌ですが、TableCheckのネット予約で言語と時差の壁をなくしましょう」と話しました。

植松氏は前述した口コミの具体例を紹介。富士河口湖町にある「湖(みず)のホテル」を例に、そのエピソードを話しました。

「外国からの予約希望者から『富士山は来週雪をかぶっていますか?』と聞かれたわけです。そこでホテル側は『そのころまでには雪が積もっていますよ。お客様に会えるのを楽しみにしています』と返信しました。これって事前にコミュニケーションが取れちゃってるわけです。おそらく海外ではこういうやりとりがほぼ当然で、やがて日本もこうなっていくんじゃないかなと」(植松氏)

続くテーマは価格。今春開業した豊洲「千客万来」の高価な“インバウン丼”が話題となりましたが、訪日外国人向けの価格設定はどのように考えたらいいのでしょうか。植松氏から見解を語りました。

「例えば日本語メニューのラーメンは500円。でも外国語では1000円みたいな、いわゆる二重価格はよくないと思います。私たちがもし海外旅行でそういうケースを見たら、嫌な気持ちになりますよね。とはいえ、日本の飲食店は外国に比べて商売っ気がないことも否めません。そこで私が考えるひとつの案は、同じメニューに別の価値を加えて高価格提供することです。

たとえばラーメンに高級なトッピングを用意するとか、日本酒をお猪口で提供し、お猪口はプレゼントするとか。調理のパフォーマンスを見せる付加価値でもいいと思いますし、海外の方には体験を提供することで、より満足されるという可能性もあるんじゃないかと思います」(植松氏)

付加価値の点では、谷口氏が「TableCheckファストパス」に触れつつ力説。このサービスは、行列に並ばずにして入店ができる飲食店版のファストパスです。

「たとえば行列のうどん屋さんでは、ファストパスがひとり2000円なんです。さすがにやりすぎかなと思いましたが、毎日何十人と利用されていて、これだけで月に200万の売り上げになっているんですね。しかし利用される方からすれば、待つ時間のほうが惜しいということだと思うんです。確かに、訪日外国人の方が観光できる時間は限られていますから」(谷口氏)

今後ますます、ファストパスの需要は高まっていくはずだと谷口氏。他方、富士山の通行も手数料が1人2000円の予約制となり、ある種今まで無料だったことが安すぎたのではないかという議論も。コーディネーターの高橋氏は、このようにインバウンドの恩恵をビジネス転換することが、地方経済の活性化にもつながると指摘します。

海外の文化や商習慣に合わせることがファン獲得につながる

そして最後のまとめへ。外食業界だけではなく、日本は社会のグローバル化にいっそう意識を高め、海外の常識を理解することがインバウンド攻略のカギである。谷口氏と植松氏の両人は、そう共感しながら次のように話しました。

「日本の常識が世界の非常識ってことは多々ありますよね。たとえば日本人はシャイな国民性で、オフィスのエレベーターで目が合っても挨拶なんてしないじゃないですか。これ、アメリカだったらハローとか天気の話をしないって不審者扱いされるレベルです。だから、口コミにも返信するのが当たり前。そうやって相手の文化や商習慣に合わせることが、ファンの獲得にもつながっていくと思います」(谷口氏)

「そうですね。そのうえで私は、やっぱりプラットフォームは絶対活用すべきだと思います。繰り返しになりますが、Googleマップ、Instagram、TikTok、これらって基本的に無償ですよね。でも日本の企業はほとんど使いこなせていません。やっぱりグローバルなプラットフォームの仕組みを理解し、活用する先に成功があると思います」(植松氏)

コーディネーターを務めた高橋氏は「コロナ禍を経て大きくビジネスモデルも変わっていく中、来年の万博が変化期にとどめをさす気もしています。ぜひ、今回のおふたりのような詳しい方に相談し、全国の外食をみなで盛り上げる。そんな業界になればいいなと思います」と期待を述べ、セミナーは幕を閉じました。

中山秀明

フードライター/エディター/フードアナリスト

1980年東京生まれ、埼玉ローカル育ち、東京在住。グルメ、ファッション、カルチャー誌を得意とする編集プロダクションを経て独立し、フードアナリストの資格も取得。内食・外食のトレンドや酒類のカルチャーを得意とし、さまざまな雑誌やウェブメディアで編集と撮影を伴う取材執筆を行っている。そのほかTVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。

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