
2025.05.09
【竹田クニ】ドタキャン・ノーショウは無くせるのか? 求められる対応策の進化と消費者啓発
竹田クニのインサイトキャンセルポリシーの明示と請求、予約時のデポジット、クレジットカード情報の登録、事前決済など、飲食店側ではさまざまな取り組みが行われている一方、ドタキャン・ノーショウは残念ながら増加傾向にあり、一部のモラルを欠いた消費者による行為に対し、飲食店はどう対応すべきか、業界としてどう取り組むのかをまとめました。
2018年 経産省で委員会
コロナ禍など想像すらしていなかった2018年、経産省「ドタキャン・ノーショウ問題に関する有識者委員会」が立ち上がりました。
No‑show(飲食店における無断キャンセル)
当時はキャンセル料請求の法的論拠や取り組みの範囲に限界があり、現在に至るまで具体的な対応策や業界全体としての取り組みに結実していない印象です。
ドタキャン・ノーショウ問題の概要
ここで一旦、対応策についてまとめてみます。
<問題の概要>
ネット予約という手法は利便性が高く、DXとしての進化も見込まれますが、一方で消費者の「軽い」「無責任」な予約を一定数生み、飲食店に経済的損失や業務上の障害をもたらしています。
<ドタキャン・ノーショウ防止策>
予約確認(リコンファーム)
予約キャンセルがしやすい仕組みの導入
デポジット(保証金)
クレジットカード登録
事前決済
<キャンセル料を回収する策>
従業員による電話・メールなど
クレジットカード登録
代行業者の活用
飲食店にとってハードルが高い「キャンセル料請求業務」
キャンセル料を「請求できるのか?」という問いに対し、有識者の見解では口頭・電話・ネット・メールいずれも契約行為として有効であり、店側が法的にキャンセル料を請求する権利があるとされています。ただしキャンセル料の金額はキャンセルポリシーとして明示しておくことが望ましく、請求時のトラブル回避のために明文化して掲示することが必須でしょう。

キャンセル料請求・回収 飲食店の現実
しかし問題は法的な解釈ではなく、請求・回収が「なかなかできない、やり切れない」ことです。飲食店側の理由は、
従業員の業務負荷と心理的負荷(つながらない、支払うと言って支払わない、逆ギレなど)
回収行動を徹底することによるレピュテーション不安
→意識の低いキャンセル者が「たかがキャンセル料でしつこく追い回された…」と評価する恐れ(これが複数回来店歴のある客や地元客だと経営者が逡巡しがち)物理的な業務量と回収見込みの費用対効果を考えた結果、“泣き寝入り”も少なくないでしょう。
ドタキャン・ノーショウによる損失を補うサービス
こうした現状に対し、新たなサービスが登場しています。
ドタキャン・ノーショウへの補償
→グルメサイトや予約システム提供者等が発生に対し、売上(予想)額の〇%、1件あたり〇%等、運用・金額は各社異なるキャンセル料請求代行
店舗が発生時にネット上で簡便に依頼し、徴収業務を代行(債権の買い取りではない)
キャンセル料請求代行サービス
ここ数年で飲食店のキャンセル料請求代行サービスの利用が増えています。業務・心理的負荷がかからず、プロによる高い回収率が期待でき、飲食店にとって有効な手段となっています。補償金よりも積極的かつ本質的な活動であり、抑止効果にも期待が持てます。
ビジネスモデルは?
各社似ておりますが、以下の通り
債権を買い取らず回収業務を代行
Web 上にてワンタッチで回収を依頼
回収手数料は回収額の 20〜35%
電話(SMS 含む)や SNS で請求
回収率(回収件数/請求件数)は店舗自力より格段に高い
キャンセル料徴収と同時にクーポン発行が可能(マイナス感情やレピュテーションを防止)
大手チェーン・有名店で導入が進み、実際の回収効果とともに抑止効果、消費者モラル向上にもつなげたいところです。


図表は「請求できるくん」(株式会社 AccordX)の Web サイトより。
請求できるくん | 飲食店の無断キャンセル対策 | キャンセル料金の請求・回収業務を自動化するデジタル請求サービス
同社資料によると、請求は電話番号への SMS 連絡が主力で、請求回数・滞納期間に応じて段階的に有効なメッセージを送る独自技術を持つとのことです。
そもそも「生まない」ためにはどうしたらいいのか? ~消費者「啓発」のための具体的活動を!
残念ながらネット予約の増加とドタキャン・ノーショウの発生件数は、まだ正比例の関係にあるかもしれません。電話、グルメサイト、AI 電話予約、LINE、Google、SNS、自社 Web サイトなど多様な予約手法が混在する現状では、一定数の発生は避けがたいのが実情です。緩い予約や複数店予約など、低モラルな消費者による行為を減らすため「消費者啓発」と「キャンセル料徴収は当たり前」という常識を業界・官民で醸成していきたいものです。
キャンセルする人に“悪気はない”?
TableCheck の調査によると、ノーショウ=無断キャンセル理由は下記のとおりです。

まぁ、これをみると悪気はないのかな?というようにも見える。
しかしながら、中には「ポイント稼ぎ」(ポイント付与、キャンセル料徴収の仕組みタイムラグやエラーを熟知した「知能犯」)もあるようで、徴取の仕組みだけでなく、「時間重複予約のシステム的な回避」「“前科”に対するネット信用スコアによる制限」など、逃げられない社会システムを創っていくことも今後の課題であると思われます。
まずは何より、
「飲食店に発生する経済的損失の現実」
「電話や口頭でも契約は成立すること」
「キャンセル料は法的に認められ当然徴収されること」
「無断キャンセルはネット信用スコアに傷がつくこと」
「良識ある行動を求めること」
これらを発信し、世論を喚起することで消費者モラル向上を図る具体的活動を官民一体で進める必要があります。

竹田クニ
株式会社ケイノーツ
代表取締役
早稲田大学商学部卒業後、1988年株式会社リクルート入社。HR事業、旅行情報事業の営業部長、じゃらんリサーチセンターで地域活性事業のプロデューサー、経営企画部中長期戦略室などを経て2011年に飲食情報事業のシンクタンクHPGリサーチセンター(現・外食総研)の初代センター長に就任。計29年在籍の後、2016年に独立し(株)ケイノーツ設立。現在は外食マーケティングのスペシャリストとしてマーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに記事執筆、講演活動、フードビジネス関連企業のアドバイザリー・顧問、食のビジネスマッチングなど活動中。










































