
2025.04.08
【竹田クニ】「ポータグルメ」に商機あり! 人口減少下で求められる食のポータビリティとクオリティ
竹田クニのインサイト人口減少は同時に、労働力不足、高齢化、世帯数減少、店舗数の減少、交通インフラ縮小…特に地方都市において影響が大きい。そこに生活する人が減れば、飲食店の商売環境は当然厳しくなる。一方で、店舗に来てもらうのではなく、「食」を移動させる=ポータビリティ向上に、新たなビジネスチャンスがあるのではないだろうか?
地方における人口減少の現実
日本の人口が2008年をピークに減少期にあることは、ご存じのとおり。

これを地域別に見るとどうなるのか?
大変興味深い分析を埼玉大学が公開している。

人口増加は暖色、人口減少は白→寒色で表示されるが、一目瞭然…恐ろしいほど地方の人口減少が進んでいることがわかる。また、90年代は大都市の郊外で人口が増加し、逆に大都市中心部では人口が減っているのに対し、2015~2020年においては大都市中心部のみが人口増加する、という現象が起こっている。
厳しくなる地方の飲食店の経営環境
地方都市を想定して絵にしてみると、そこに生活する人々に対して店舗があったとする(左図)。そして人口・世帯数が減ったときの絵が右側の図だ。

そこで生活し、働く人々が減少すると、同時に世帯数の減少、世帯の分散化、高齢化、労働者の減少をともない、その地で店を経営することが難しくなり、店舗数が減少してしまう。
店が減れば、遠くて行けない、店で買い物しても重くて運べない、車がない(免許がない)から行けない、高齢者であれば体調や持病によって出かけられない…こうした問題が連鎖的に地方で起きる。
低下する「食」のQOL
衰退していく街では、新鮮な食材が買えない、買い置きの惣菜やインスタント食品、ネットで注文したミールキットに頼りがちになる…外食も中食も内食も選択肢が減り、食のQOL(Quality of Life)が低下してゆく。
食のモビリティ向上 → “ポータグルメ”が地方居住者の「食のQOL」を支える
“ポータグルメ”はコロナ禍前の2018年に(株)リクルート ホットペッパーグルメ外食総研がリリースした「造語」(筆者・竹田クニもプロジェクトのメンバーでした)で、人口減少に加え、当時進みつつあった働き方改革やタイパ意識の向上、EC、デリバリーの浸透…などを背景に、ポータビリティ(移動性)+グルメ(おいしさ)が今後広がると予測した。

EC、フードテック、MaaSでさらに進化
2019年からコロナ禍を含めて5年が経過し、食のモビリティはだいぶ進んだように思われる。食のデリバリー市場規模は2019年約4,180億円 → 2024年予測では約8,000億円と、倍近くに拡大。冷凍食品やミールキットはコロナ禍を通じ、外食店プロデュースの商品が数多く登場し、店の味を楽しめる商品も増えた。
また、下記の進化は年々スピードが上がっており、イノベーティブな技術が次々と登場している。
冷凍技術・保存技術の進化

調理ロボットなどによる省力化・自動化

写真:テックマジック社の炒め調理ロボット
物流でのロボット活用、自動運転、ドローン配送

自動運転やドローン配送は実用化に向けた取り組みが加速
こうした新技術によって、“ポータグルメ”市場はさらに拡大が予想されるし、何より地方で生活する人々の不便・不都合を解消し、食のQOLを向上させることをぜひとも実現させたい。
そしてそこには、飲食店や食品メーカー、機械メーカー、物流など関連する各業界にとって、新たな商機があると考えられるのだ。

竹田クニ
株式会社ケイノーツ
代表取締役
早稲田大学商学部卒業後、1988年株式会社リクルート入社。HR事業、旅行情報事業の営業部長、じゃらんリサーチセンターで地域活性事業のプロデューサー、経営企画部中長期戦略室などを経て2011年に飲食情報事業のシンクタンクHPGリサーチセンター(現・外食総研)の初代センター長に就任。計29年在籍の後、2016年に独立し(株)ケイノーツ設立。現在は外食マーケティングのスペシャリストとしてマーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに記事執筆、講演活動、フードビジネス関連企業のアドバイザリー・顧問、食のビジネスマッチングなど活動中。










































