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2025.11.19

「ファスト風土化」と飲食店の役割 地域の魅力体現者としての存在意義 

竹田クニのインサイト

近年の地方・郊外から地域の独自性が失われ、どの街も似たような景観になっていることを「ファスト風土化」と呼ぶ論がある。2000年頃から提唱し始められたものだが、確かにコンビニ、大型スーパー、ファミレス、ファストフード・・・地方・郊外の街が類似・均質化してきている、という論には頷けるものがある。

「ファスト風土化」する地方

言葉自体は2000年頃に登場し、2004年にはに著名マーケッターである三浦展氏が著書にて提唱している。
定義をまとめると以下の現象をいう。

<ファスト風土化>
道路・鉄道が整備されて地方が都市化・工業化・郊外化・消費社会化し、ファストフード、ショッピングセンター、ホームセンター、コンビニエンスストア・スーパーマーケット・ファミリーレストランといった商業施設が立ち並んだことによって、日本の郊外・地方は何処に行っても似たような景観に均一化され、地域固有の個性が失われていく現象
また個性ある商店街が大規模商業施設によって打撃を受けて衰退し、「シャッター通り」化する現象を引き起こした。

ファスト風土化 - Wikipedia

言葉としての“ファスト風土“は「ファストフード」の洒落であり、均一・画一的なスタイルを揶揄している。

デジタル社会の進化も一因

ファスト風土化の原因はデジタル社会の進化も理由として大きい。
WEBサイトでの情報収集やECは現地に行かなくとも得たいものが得られるし、SNSによるコミュニケーションは対面でなくともコミュニケーションが可能、リモートワークやAIによって働き方が変化・・・などなど、社会は劇的に進化。
人の活動は効率的・合理的になる一方で、近所の店でモノを買う機会が減少し、「ご近所」「隣人」と付き合わなくても生きていくことは出来る。これが新たな社会課題に繫がっている側面がある。

例えば、前回のコラム紹介した「第五の消費」で警鐘を鳴らしている社会課題の一つ・・・「孤独」のケア。
利便性の向上の一方で進む、コミュニティ、コミュニケーション、社会との接点希薄化は現代社会の課題となっている。

「第五の消費」って何だ?~次世代の外食産業の軸となるコンセプト~ |  Food Deploy | 飲食店のDXを後押しするWEBマガジン

飲食店は“メディア”

飲食店はただ空腹を満たすことのみならず、「人との会話」「絆を深める」「節目を祝う」「新たな出会い」・・・など人と人とのつながりを媒介する「メディア」であると考えます。
(※勿論、空腹を満たす目的が強い飲食店も存在しますがここでは除外します)
孤独だけでなく、地域産業との繋がり、街づくり、ウェルビーイング・・・これらはまさに飲食店が関わるテーマなのであります。

地方・郊外で進む人口減少と世帯数減少

ご存じの通り人口減少・世帯数減少は地方・郊外ほど顕著だ。
「ファスト風土化」を招いた一因として、80年代~90年代に人口増加・世帯数が増えていた郊外・地方へ、チェーン店、大型スーパー等の出店拡大だ。

下図を見ての通り、地方・郊外と大都市圏の人口増減は90年代と現在では「真逆」の関係にある。
90年代当時は都市部で成功したモデルを画一化し、郊外・地方へ出店拡大していく成長戦略が理にかなっていた。

ところが現在は地方・郊外において人口減少・世帯数減少が顕著。
こうした傾向が続くとどうなるか…
人口減少、世帯数減少・分散化・高齢化は、その地の飲食店の業績維持を困難にし、退店に繋がる。

新たな可能性

そこで有望かつ重要なのは、地域の資源を活用し、地域の食文化を伝える意欲的な飲食店だ。
居酒屋甲子園では、各地で地域の食材、酒、食文化に誇りを持ち、それらを伝える伝道師としての仕事⇒「志事」として心を燃やす頼もしい飲食店が登場してきている。
地域のコミュニティとして、地方創生の担い手として、観光の魅力的なコンテンツとして・・・地域にとって飲食店の役割は非常に大きい。

11月11日(火)atパシフィコ横浜 居酒屋甲子園 全国大会が開催されました。

第18回居酒屋甲子園 全国大会|共に学び、共に成長し、共に勝つ。

彼らのプレゼンテーションには

  • 魅力的な地域を発信する飲食店

  • 自分が住む・働く地域の魅力を知り・誇りが持てる仕事

  • 人が交流する場としての価値

  • 魅力的な仕事を提供する役割

これらに真摯に取り組む飲食店の姿を見ることが出来ます。
地域の文化の担い手として、飲食店が果たす役割は益々重要になっていると言えるでしょう。

竹田クニ

株式会社ケイノーツ

代表取締役

早稲田大学商学部卒業後、1988年株式会社リクルート入社。HR事業、旅行情報事業の営業部長、じゃらんリサーチセンターで地域活性事業のプロデューサー、経営企画部中長期戦略室などを経て2011年に飲食情報事業のシンクタンクHPGリサーチセンター(現・外食総研)の初代センター長に就任。計29年在籍の後、2016年に独立し(株)ケイノーツ設立。現在は外食マーケティングのスペシャリストとしてマーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに記事執筆、講演活動、フードビジネス関連企業のアドバイザリー・顧問、食のビジネスマッチングなど活動中。

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