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2024.03.18

飲食業界におけるAIの新潮流:コミュニケーションと配達の効率化でストレスを軽減

海外飲食DXニュース

AIの用途として、データ分析やマーケティングがあげられますが、すぐに効果があるのはスタッフや顧客のストレス緩和かもしれません。

2024年3月12日、デリバリー大手DoorDash(ドアダッシュ)とプラットフォーマーのFlybuy(フライバイ)の2社が同じ日にAIを用いた新しいサービスを発表しました。

DoorDashは、暴言や嫌がらせの検出のため、Flybuyは顧客の待ち時間をなくすためにAIを活用します。

それぞれ用途は異なるものの、飲食業界で働くスタッフや顧客のストレスを緩和するのが主な目的です。

配送ロボットやキッチンロボの発表は注目を集めますが、日常業務で使用できるようになるのは数年先のことです。

それよりも、今日の現場スタッフや顧客に直接的に効果のある仕組みのほうが有用性が高いのではないでしょうか。

DoorDashがAI活用でアプリ内のコミュニケーションを健全化

AI活用でアプリ内のコミュニケーションを健全化

DoorDashは、アプリ内での顧客やスタッフ、Dasher(ダッシャー:DoorDashの配達員)とのコミュニケーションで暴言や嫌がらせを検出するAIツール「SafeChat+(セーフ・チャットプラス)」のリリースを発表しました。

SafeChat+は、アプリのチャットに組み込まれ、AI がアプリ内の会話をレビューし、暴言や嫌がらせを検出して自動的に処理する仕組みです。

アプリ内でのコミュニケーションでは、しばしばストレスを感じる言葉や不適切な表現が使われたりします。

ストレスを感じる言葉や不適切な表現

画像引用:DoorDash Launches New AI-powered Feature to Help Combat Chat Abuse and Harassment

これらは不当な評価やクレーム、裁判沙汰に発展する場合もあるため、SafeChat+の実装により問題が大きくなる前に対処が可能です。

例えば、注文客がDasherに対して不適切、または暴言に該当する内容を送信した場合、SafeChat+がDasherに注文をキャンセルする選択肢を与えます。

配達がすでに完了していた場合、状況の悪化を防ぐため、SafeChat+がチャットを自動的に終了させます。

反対に、Dasherが配送中に不適切な対応や暴言を注文客に使用した場合は、DoorDashのサポートに報告すると、必要な支援が受けられる仕組みです。

このような暴言や不適切な表現によるストレスは、飲食業界に限らずホスピタリティ業界では、一般的な事柄といえるかもしれません。

しかし、SafeChat+のようなAIツールをプラットフォームに導入すれば、顧客やスタッフを問わず使用する人がネガティブな気持ちになる回数を減らすことができます。

結果、ストレスの少ない環境が維持され、効率の追求や関係性の改善がしやすくなるのではないでしょうか。

AIでキッチンと注文客のストレス解消を目指すFlybuy Connect

AIでキッチンと注文客のストレス解消

位置情報を用いたプラットフォームを提供するFlybuyは、待ち時間を解消するFlybuy Connect(フライバイ・コネクト)を発表しました。

Flybuy ConnectはAI主導のキャパシティ管理ソリューションであり、ドライブスルーやテイクアウトの注文を待ち時間なしで提供することを目指したツールです。

一般的に、飲食店向けに提供されているキャパシティ管理システムは、キッチンスタッフの業務管理が主な目的です。

しかし、Flybuy Connectは顧客の移動時間も考慮して、料理の提供時間と顧客の到着時間を同期させます。

具体的には以下の4つを分析して、正確な受け取り時間を算出すると発表されています。

  • 料理の準備時間

  • キッチンのキャパシティ

  • スタッフの状況

  • 顧客の移動時間

特に、顧客の移動時間はFlybuyが得意とする位置情報技術(交通パターン・時刻・渋滞・工事)を活用しており、従来のナビゲーションよりも正確な予測が可能です。

Flybuyが得意とする位置情報技術

画像引用:Flybuy Launches Flybuy Connect: Pioneering the Perfect Order Journey for Customers and the Kitchen Crew

これにより、製造業や物流業で見られるジャストインタイム方式(必要なものを必要なときに必要なだけ供給する)に近い形にして、待ち時間のない状態が作り出せるそうです。

以上のことからFlybuy Connectを導入すると、キッチンの調理状況と顧客の位置情報の両方を分析、到着したら注文をすぐに受け取れる体験を顧客に何度も提供できます。

待ち時間がある他店との競争で優位になり、リピーター獲得にも役立つでしょう。

AI活用で飲食業務のマイナスを減らす

AI活用で飲食業務のマイナスを減らす

前述した2つの発表では、異なるアプローチでありながらもAIで顧客やスタッフのストレスを緩和したり、抑制したりできるサービスと言えるでしょう。

一般的に飲食業界では、質の高い接客サービスや魅力的な価格など顧客に対して、加点式で価値を追求する場合が多いです。

しかし、付加価値の高いサービスであっても、ストレスを感じる部分が多いと顧客だけでなく、スタッフも定着しない可能性があります。

また、働くスタッフの負荷軽減や、ストレス緩和は優先順位が低くなる傾向があります。

今回の2つのサービスは、マイナス要素を減らすためのツールと言えるでしょう。

AIをマーケティングや販促活動に利用するには、大量の顧客情報が必要です。

しかし、顧客やスタッフがネガティブな気持ちにならないようにAIを利用する場合、大量のデータがなくても一定の効果があるのではないでしょうか。

飲食業界ではストレス緩和のためにAI活用は可能性大

ストレス緩和のためにAI活用

3月12日、DoorDashとFlybuyはそれぞれ異なる用途でAIを活用した新しいサービスを発表しました。

DoorDashは、アプリ内での不適切なコミュニケーションの防止、Flybuyは待ち時間の短縮のためにAIを利用します。

これら2つのサービスは、アプローチは異なるものの顧客とスタッフのストレスを効果的に緩和できる仕組みです。

AIは様々な用途があると言われますが、ストレスや負荷軽減のために導入するのも1つの手段であり、有用性と即効性が高い方法といえるのではないでしょうか。

参考サイト

DoorDash Launches New AI-powered Feature to Help Combat Chat Abuse and Harassment

Flybuy Introduces Flybuy Connect

Flybuy Connect | Capacity Management

前田淳一郎

グラフィック制作カタパルト

代表

1983年岐阜県生まれ。プログラマー、整備士、物流と転職し、日本橋で寿司職人の世界に入り、立ち食い寿司屋の店長になる。原価の高いをいわれる寿司で、原価調整と材料管理を徹底し、原価を平均25~30%に抑える。その後カナダで移民に挑戦し、現地の海上コンテナのフォワーダー企業に勤める。帰国後に外資系に勤務。
2020年より、Webライターをしながら世界の新しい「食の常識」を発信中。

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