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2025.08.06

「オノマトペ」と「慣用句」 スマホオーダーだからこそ重視したいメニュー名

竹田クニのインサイト

メニュー名は店の想いが詰まったものと考えますが、中には「良さが表現されていない」「説明力が弱い」メニュー名があるように思います。メニュー名は本来、“アート”な領域=右脳的なものですが、ここに分析的=左脳的アプローチはできないものだろうか?

それ、「伝わる?」

「シェフの気まぐれサラダ」「こだわり餃子」「スペイン風トマト煮込み」…実際に存在するメニュー名であるが、ネーミング自体の良し悪しは一概に言いづらい。
問題は“伝わるか?”だ。

  • メニュー名

  • メニューブック or オーダーシステムの説明文

  • メニューブック or オーダーシステムの写真

  • 人による説明

これらがどう組み合わされ、客が理解できるようになっているかが重要である。店によっては“敢えて”その説明をスタッフが行い、接客による体験価値向上を目指しているケースも多いだろう。

一方で、食材・調理法・食感・味の特徴・他店との違いが伝わらないケースも多い。人による説明や写真、説明文での担保が十分でない場合、上記のようなメニュー名は非常にわかりづらいものとなる。

スマホオーダーだからこそ

スマホオーダーが普及浸透している今だからこそ、この問題は再考が必要かもしれない。
スマホオーダーは紙のメニューブックに比べ、物理的に「写真が小さい」「説明文のスペースが限られる」。

(写真:Airレジ)

また、スマホ上での説明力担保は画面遷移やスクロール量など操作性とトレードオフになりやすい。店側の意図・狙いによって、どう役割分担をさせていくかが大切だ。

改めて考えたい「メニュー名」

メニュー名は、ただ料理名だけでなく、食感や素材の良さ、料理人のこだわりを表現し、客に「美味しそう!」「食べてみたい!」と感じさせる大切なもの。
スマホオーダー活用を前提に考えると、一定の表現制約がある中でどう魅力的にメニューを見せるかという点で、メニュー名の再考が必要になるかもしれない。

食感・食味・温度感を伝える「オノマトペ」

  • サクサク、もちもち、カリカリ、ネバネバ、ふわふわ、シャキシャキ、シコシコ

  • ピリ辛、こってり、ねっとり、しみしみ

  • アツアツ、ひんやり、じゅわーっと

いわゆるオノマトペ(擬音)以外にも多様な表現でメニュー名は料理の特徴を伝えるが、この分野を科学的に行っている興味深いサービスがある。株式会社 SARAH が提供する「FOOD DATA BANK」。同社が運営するグルメサイト SARAH は店ではなく「料理」に対する口コミが特徴で、そこでの食感・食味コメントをビッグデータ化し、傾向・トレンドを分析するサービスだ。

FoodDataBank - 食のビッグデータ分析サービス

例えば「チャーハン」。定番の「パラパラ」のほか、「しっとり」「ふわふわ」「ごろごろ」などにも一定の評価があることが分かる。

また、ハンバーグや餃子などでよくみられる「肉汁」という表現が経年でどの程度増えているかを分析するデータも興味深い。

(画像提供:株式会社 SARAH)

こうしたビッグデータ分析をダッシュボード機能で活用できるのは、マーケター、マーチャンダイザー、商品企画に関わる人々にとって非常に有効だろう。

商品のこだわりポイントを伝える「慣用句」は消費者にどう響く?

「産地直送」「自家製」「契約農場」…よく使われる慣用句的表現はどの程度消費者に説得力を持つのか?
やや古いが、株式会社リクルート ホットペッパーグルメ外食総研がメニュー説明に使われる慣用句への支持を調査している。現在でも有効な資料として引用する。

外食メニュー選び、もっとも"刺さる"慣用句は? | ホットペッパーグルメ外食総研

全業態で見ると、「朝採れ・朝引き」「天然もの」「旬・期間限定」などに支持が集まる。
一方、業態による差が大きく、カレーやラーメン、お好み焼きでは「伝統・元祖・老舗」「マスコミで話題」などが上位にランクイン。居酒屋や和食では「旬」「天然もの」「産地直送」が、洋食では「シェフ・料理長」の存在感が強いなど、興味深い結果となっている。

「人」「メニューブック」「デジタル」の役割分担と合わせて、魅力的なメニュー説明を!

メニュー名の世界は奥深く、工夫することでさらに魅力的に見せる可能性がまだある。単に「ヘルシー」「自家製」「ジューシー」といった定番慣用句だけでは十分に伝わらない。
紙メニューに比べ表現に制約のあるスマホオーダーでは、客にとって「メニュー名」がこれまで以上に商品理解の要素として重要になる。科学的・分析的手法の活用も含め、メニュー名の工夫は顧客体験価値を高める大切な取り組みになるだろう。

竹田クニ

株式会社ケイノーツ

代表取締役

早稲田大学商学部卒業後、1988年株式会社リクルート入社。HR事業、旅行情報事業の営業部長、じゃらんリサーチセンターで地域活性事業のプロデューサー、経営企画部中長期戦略室などを経て2011年に飲食情報事業のシンクタンクHPGリサーチセンター(現・外食総研)の初代センター長に就任。計29年在籍の後、2016年に独立し(株)ケイノーツ設立。現在は外食マーケティングのスペシャリストとしてマーケティング、消費者の価値観変化、生産性向上などをテーマに記事執筆、講演活動、フードビジネス関連企業のアドバイザリー・顧問、食のビジネスマッチングなど活動中。

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