
2024.05.14
「外食SX」を発展的に解散して、5月より「RX」を設立し活動する狙いとは
国内飲食DXニュース「外食SX」(代表幹事/狩野高光、株式会社和音人代表)はR40(40歳以下)の若手飲食店経営者団体として、これまで社会的活動と経済的活動をつなぐCSV経営を推進してきた。この度、同団体は発展的に解散し、新たに「RX(略称)」(Japan Food business Research X-Formation)(代表理事/狩野高光)を立ち上げ、5月から活動を推進する。「RX」はどのような世界観をもって活動するのであろうか。以下に、その展望をまとめた。
外食3団体がパートナーシップを結ぶ
「外食SX」は、5年前に立ち上がった「外食5G」(外食第5世代)を源流としている。「外食5G」はR40の若手飲食店経営者のコミュニティ的な意味合いで形成された団体で、他業界で活躍している人物を招聘して学びの時間を共有し、ここから他業界と共創することを模索してきた。
これらの活動をCSV経営に収斂してアカデミックに取り組もうと設立されたのが「外食SX」であった。これらのメンバー各社ではCSV経営の目的である「社会課題に取り組みながら利益を上げていく」という活動を展開して、その発表の場として「CSVアワード」も3回開催した。
このような「外食SX」を解散し、新たに「RX」を立ち上げた背景について、代表幹事の狩野高光氏はこのようにアピールしている(狩野氏のfacebookより)。
「外食産業は『人』が輝く産業です。その『人』をより輝かせて、人生の生業として選ばれる産業にしていくために、『DX』を正しく理解して取り入れていかなければなりません。新団体では『人とDX』という2つの点を1つの線でつなげていくことに挑戦します」
「外食SX」が目指したことは「食の産業構造改革を行い、経済的立場から変化させること」であった。そのために学び続けてきた過程で出てきたことは以下の3本であった。
他産業と協業できるビジネスマンを育成すること
飲食業における「デジタルサプライチェーン」を構築すること
仕入れ、採用におけるインフラ、また新たなサプライチェーンを構築すること
そこでこの度「外食SX」「レストランテック協会」「TOMONI会」の3団体がパートナーシップを結んで「RX」を設立。それぞれの団体が持つユニークな強みとリソースを結集することで、業界全体の課題に対する新たな解決策を模索し、提供することを目指すことになった。

「RX」では、ただいま第1期の参加企業とサポーター企業を募集中である。「外食5G」「外食SX」では次世代の経営者を育てる会として運営してきたが、「RX」では上記の趣旨に基づいて年齢制限を設けていない。
「参加特典」をこのように掲げている。
まず「飲食企業」の場合。
プロダクト・サービスの開発参加(企画予定)
RX共同仕入れへの参画権利(企画予定)
有名飲食経営者の講演受講
専門家によるビジネス講演受講
RX参加企業との交流会参加の権利
アワード発表会への参加権利
次に「サポーター企業」の場合。
有名飲食経営者の講演受講
専門家によるビジネス講演受講
RX参加企業とのプロダクト・サービス開発への参加(企画予定)
企業プレゼン
RX参加企業との交流会に参加する権利
応募フォームはこちらとなっている。
RX参加企業&サポーター企業応募フォーム
https://docs.google.com/forms/d/1yV3XqQ8i2ghSziovrLsdpbKBCqjj9GtsKo-3iO644e4/edit?pli=1
既存のプロダクトを使いやすい形に組み立てる
「RX」の活動には2つのセクションが存在する。
一つは、「アカデミー」。
これは飲食店に必要なビジネススキルを身につけることを目的として、優良企業経営者の講演と、専門家によるビジネスプログラムが用意されている。これらは、5月28日に第1回が開催されて、以後月1回のペースで開催、最終3月25日までの講演者等が決定している。
もう一つは、「デジタル/フードサプライチェーン」。
ここでは「食産業の進化に向けた企業間協業とデジタル化の推進」を旗印としている。
ここでの活動内容を、このセクションの理事長を務める新井勇佑氏(株式会社カオカオカオCEO)が解説してくれた。

まず「活動の概要」はこのようになっている。
「外食プロダクト・サービス開発者と外食企業によるチームを結成し、外食における課題抽出・分析を行う。次に『JFRX』を通じて仮説検証を共に行い、外食産業に向けた新たなプロダクト・サービスを提案する」
新井氏はこう語る。
「これからのデジタルの在り方について、私たちは、いま外食産業では、どのようなところに、どのような不便や不満があるのか、ということを考えてきました。そこで分かってきたことは、新しいプロダクトはほとんどいらない、いまあるものを私たちが使いやすい形にしていくことが一番重要だということに気づきました」
「既存のプロダクトを、飲食のサポーター企業同士がきちんとコミュニケーションを取って一つとなり、使いやすい形をつくっていくことが、このセクションが目指すところです」
サポーター企業が連携することに期待
新井氏は、現状の「外食における課題」は「3つの島」に分けることができると語る。「3つの島」とは、こうなっている。
まず、「原価率・利益の島」。
ここでは「商品開発」によって「レシピ」が決定される。そして、仕入れ業者との「商談」が行われる。それが「発注」となり、飲食店では「加工品」となり、それがお客に提供され、「出数データ」となり「原価率」「利益」が決定されていく。「商品開発」「レシピ」「商談」「発注」「出数データ」「原価率」というフローだ。
「ここの『レシピ』で、本来赤玉ねぎを使っていたものを玉ねぎに変更したらどうなるか。15ℊ使っていたものを10gに変更するとどうなるか。適切な商社はどこなのか。メニューの表の中でAの位置からBに変更するとどうなるか。つまり、あるレシピの赤玉ねぎを玉ねぎに変更すると、自動的に商社が決定し、自動発注が行われ、モバイルオーダーによるメニューの位置などにより出数データ予測され、それによって原価率や利益の変化が一元管理できるように連携していくべきです」(新井氏)
次に、「集客・販促の島」。
コロナ禍が終息してから、この島においては再び「媒体」が重要なポジションを占めるようになった。その要因は、お客にとって一回の外食体験に求める価値が高度化して、ここで失敗したくないという理由から、店のランキングや点数をこれまで以上に意識するようになったからとされている。その次は媒体を一元管理する「予約台帳」に進み、お客は来店してから「モバイルオーダー」を利用。その後店では「CRM」(顧客関係管理)を行う。「媒体」「予約台帳」「モバイルオーダー」「CRM」というフローだ。
「この島ではまず、各媒体から流入してくる新規のお客様をなるべく取りこぼしがないように予約台帳の利用が必須となります。次に、モバイルオーダーなどで顧客を管理することで新規のお客様を再来店のお客様としてつなげていくことが必要になってきます。この中で、いまの飲食店の課題は、情報が顧客リストに留まっていて、『CRM』を正しく活用できていないことだと思われます」
「特に個人店にはそれぞれお店の特徴があるわけで、それに沿ったアプローチをお客様に行うことで、お客様の店に対するロイヤリティは格段に上がるはずです。また、店とお客様との関係性を強くするために独自のカラーでキャンペーンを活発に行うことも重要。つまり、『モバイルオーダー』と『CRM』の間にクリエイティブディレクターの役割が必要となります」(新井氏)
そして、「労務の島」
ここでは、まず「シフト作成」があり、「勤怠管理」につながり、「給与計算」となり、「給与明細発行」、そして「給与振込」となる。「シフト作成」「勤怠管理」「給与計算」「給与明細発行」「給与振込」というフローだ。
「この一元管理が出来ているということが、私たちがいま一番欲しいもの。この連携をしてくれるサポーター企業様を望んでいる。例えば『シフト作成』とは、人を入れてオペレーションを決めることですが、その本質は人件費や人件費率を決めること。考え方をここに立ちかえることで一元管理に近づいていきます」(新井氏)
このようなフローの一つ一つにおいて、その分野を強みとする飲食業のサポーター企業が連携することによって、PLが抜本的に変化することは容易に理解できる。これが「RX」が「外食SX」から継続しているミッションの「食の産業構造改革を行い、経済的立場から変化させること」なのである。
「団体」として取り組むことで一気に進む
「このような取組の検討は、過去に企業間同士で行われたこともあるでしょうが、ここだけでは話がうまく進展しないのでは。これを団体として取り組むと、仮説検証が一気に進み、導入が早く進みます。新しいものをつくるというよりは、2社ないし3社が合同で一つの連携をつくるというイメージ。メリットはとても大きいです」(新井氏)
これらの「デジタル/フードサプライチェーン企画」については、5月中に募集内容が告知される。
現状、応募条件はこのようになっている。
RXの会員であること
クラウドサービスであること
ブラウザ(Chrome、Safari)で利用できること」「他社連携であること(自社完結ではない)」
プロダクトオーナーなどの開発決定者が参加すること
応募に際して費用は発生しない。
採択の基準は「外食企業への提供価値によって判断」となり、「一次審査」は書類でRX執行部が判断、最終は「プレゼン審査」と予定されている。
このように「RX」は「食の産業構造改革を行い、経済的立場から変化させること」を、団体としての力を発揮して、一気に取り組んでいくことをミッションとしている。参加する飲食企業同士、サポーター企業同士、そして飲食企業とサポーター企業が結び付くことによって、食の産業構造改革がより速く、現実的に展開されていくことであろう。

千葉哲幸
フードサービスジャーナリスト/フードフォーラム代表
柴田書店『月刊食堂』編集長の後、ライバル誌の商業界『飲食店経営』編集長を務めるなど、フードサービス業界記者歴ほぼ40年。フードサービス業界の歴史を語り、最新の動向を探求する。2014年7月に独立。「Yahoo!ニュース エキスパート」をはじめ、さまざまな媒体で執筆、書籍プロデュースを行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社、2017年発行)













































