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2024.04.08

飲食とフードテックの協業:空気から作成されたタンパク質Soleinの活用と店の新しい役割

海外飲食DXニュース

新食材を率先して導入する飲食店は、話題提供だけでなく、フードテック企業の広報活動にも貢献し、Win-Winの関係が築けます。

2024年4月3日、シンガポールの創作料理店「成都碗(Chengdu Bowl:チェンドゥ・ボウル)」は、空気と微生物から作られたタンパク質「Solein(ソレイン)」を料理に使用します。

画用引用:Solein images - Solar Foods

Soleinは、フィンランドのフードテック企業「Solar Foods(ソーラー・フーズ)」が開発した新しい原料で、地球環境への影響が少ない製造方法が注目されています。

このような新食材を率先して料理に使用すると、飲食店にとって話題提供や認知を高めるのに役立つでしょう。

今後、飲食店とフードテック企業がコラボする機会が増えていくかもしれません。

Soleinを活用し中華料理をビーガンメニューで提供

創作料理店「成都碗(チェンドゥ・ボウル)」は、新食材「Solein(ソレイン)」を使用した料理を3ヶ月間限定で提供すると発表しています。

対象となっている料理は、麻婆豆腐と酸辣湯スープの2つのメニューであり、100%ビーガンです。

Soleinを使用したことで、完全にアニマルフリー(動物性タンパク質を含まない)の麻婆豆腐となり、味にひねりを加えていると説明されています。

また、酸辣湯スープでは、肉と卵をSoleinに置き換え、酸味と辛みをアレンジしているそうです。

成都碗は、四川料理をベースにした創作中華料理を提供しており、ベジタリアン料理へのオプションも用意している飲食店です。

動物性タンパク質にアレルギーがある顧客や、環境負荷に配慮したい層に支持されるでしょう。

3ヶ月限定の提供ですが、Soleinを使った料理と認知が広がり、空気から作られた新食材への理解も深まるはずです。

Solar Foodsは空気と微生物の力でタンパク質を作成

画用引用:Solein images - Solar Foods

Solar Foods(ソーラー・フーズ)社が開発したSoleinは微生物による発酵を活用しているため、味噌や酒などと同様に発酵食品の部類といえるかもしれません。

しかし、主原料が空気であるため、従来の発酵食品とは根本的に異なります。

同社のホームページでは、空気から二酸化炭素と水を取り出し、カルシウムやリンなどの栄養素と一緒に微生物に与えて、Soleinを作成すると説明されています。

このような微生物に必要な栄養素を与えて、発酵をコントロールする技術を「精密発酵」と呼び、これにより従来の方法とは異なる食材が生産できます。

Solein自体は、プロテインパウダーであり、人体に必要な9種類の必須アミノ酸を含んでおり、多様な料理に使用できるそうです。

この新しいタンパク質は、2022年9月にシンガポールで初の食品規制当局の承認を取得し、食品への販売と使用が許可されました。

すでに食品への利用が始まっており、ビーガンスナックバーの材料として提供されています。

画用引用:Solein images - Solar Foods

直近では、1月19日にFazer社から限定チョコレートスナックバーとして発売されました。

このスナックバーは、ダークチョコレート、イチゴ、ヘーゼルナッツバーと種類があり、シンガポールの小売店で販売されています。

またSolar Foods社は「Factory 01(ファクトリー01)」と呼ばれる最初の生産施設の稼働を進めており、本格稼働は2024年前半を計画しているそうです。

今後、用途に合わせてさまざまな形や風味を追加したSoleinが開発されるのではないでしょうか。

フードテックの新食材で飲食店の役割が変化

前述した成都碗(チェンドゥ・ボウル)のように、フードテック企業が開発した新食材を積極的に取り入れる飲食店は、他の店とは異なる役割が担えるようになります。

Soleinに限らず、一般的に未知の食材は一般消費者に受け入れられにくく、普及も難しいものです。

そこで、飲食店がおいしく食べられる料理を考案し提供することで、新食材の認知が広がり、各段に普及しやすくなります。

歴史を振り返ると、日本ではかつて和食中心でしたが、洋食(カツレツやスパゲティなど)を提供する飲食店が人気となり、次に家庭料理にも洋食が普及したという経緯があります。

同じように、飲食店とフードテック企業が積極的にコラボすることで、新食材の食べ方やメリットなど話題を提供し、顧客の興味を引くことが可能です。

つまり、飲食店がフードテック企業の宣伝や広報の代わりになると言えるのではないでしょうか。

Solar FoodsのSoleinを中華料理に使用して飲食店で提供

4月3日、シンガポールの成都碗は、Solar Foods社のSoleinを四川料理に使用し、期間限定でビーガン料理を提供します。

Soleinは「精密発酵」と呼ばれる方法で製造され、自然環境への負荷が少ない新食材として注目されているタンパク質です。

このため、持続可能性に関心のある顧客や新しいものを好む層から関心を集められるでしょう。

今後、フードテック企業が開発した新食材を飲食店が積極的に取り入れることで、料理や食べ方を体験できるショールームの役割が期待できます。

同時に、店の認知拡大や差別化にもつながるため、フードテック企業と飲食店でWin-Winの関係が築けるでしょう。

参考サイト

Singaporean restaurant unveils two Solein-based dishes creating a Mala-flavoured taste of the future - Solar Foods

Chengdu Bowl 成都碗 | Authentic sichuan food | 120 Tanjong Pagar Road Singapore

アイコン画像引用:Solein images - Solar Foods

前田淳一郎

グラフィック制作カタパルト

代表

1983年岐阜県生まれ。プログラマー、整備士、物流と転職し、日本橋で寿司職人の世界に入り、立ち食い寿司屋の店長になる。原価の高いをいわれる寿司で、原価調整と材料管理を徹底し、原価を平均25~30%に抑える。その後カナダで移民に挑戦し、現地の海上コンテナのフォワーダー企業に勤める。帰国後に外資系に勤務。
2020年より、Webライターをしながら世界の新しい「食の常識」を発信中。

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